石川県輪島市の田んぼでオーナー制度を企画運営してきた「水田活性化協議会」(同県小松市)が、能登半島地震で被災したパートナー農家を支援する取り組みを始めた。今年収穫できた米を「能登応援米」と名付け、お歳暮など贈答用として届ける仕組みで、全国から23の事業所や個人がオーナーに名乗り出た。19日の田植えに合わせ「がんばろう能登」のメッセージとオーナー名が書かれた看板を田んぼに設置し、復興のシンボルにする。(久我玲)

輪島市のパートナー農家の田んぼに設置する「がんばろう能登」の看板を手にする島嘉文さん=石川県小松市で

◆使える田んぼで小松市の団体が企画

 協議会代表の島嘉文さん(43)=小松市=は8年前、農家の高齢化など課題が横たわる奥能登の米作りを守るため、山あいにある輪島市町野町の二つの農業生産法人とパートナー農家契約を結び、オーナー制度を始めた。  だが能登半島地震でパートナー農家が被災。田んぼに亀裂が入ったり、水路が壊れたりして、今後の米作りが見通せなくなった。島さん自身も事業の継続が難しい状況に陥ったが「力になりたい」と地震前からのオーナーたちが支援を申し出た。パートナー農家の農業生産法人「粟蔵(あわくら)水稲」に伝えると、今年も被害が少なかった場所では作付けできる見通しを聞き、新たな企画が動きだした。

◆収穫量多ければ一般販売も

 取り組むのは「未来応援オーナー」と題した制度。参加費1口5万4千円(税込み)と、別途、登録料1万4300円(同)でオーナーになってもらい、田植えから収穫まで田んぼに関する情報を随時提供する。米作りを通じて、被災地が復興に向かう様子を感じてもらう。収穫した米は「能登応援米」として贈答用にパッケージし、36キロ分を届ける。  パートナー農家への支援を含め、参加費は例年より1万円ほど高く設定した。2月にオーナーを募集。3月末までに食品製造販売会社や印刷会社、不動産会社など計23者が集まった。「能登の農業をあきらめない。こんな状況でも米作りを続ける人の思いを全国に発信したい」と島さん。オーナーの企業名や名前が入った「がんばろう能登」と書かれた看板23枚を製作した。19日に粟蔵水稲が管理する輪島市町野町の田んぼに設置し、田植えを始める。  オーナーの募集は既に締め切ったが、予定より米の収量が多ければ、一般販売も検討する。問い合わせは、同協議会のホームページやインスタグラムから。 

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