独占禁止法に基づく排除措置命令を受けたのは
▽佐賀市にある「佐賀県有明海漁業協同組合」と
▽熊本市にある「熊本県漁業協同組合連合会」です。

公正取引委員会によりますと、この2つの団体は、有明海周辺の養殖のりの生産者に対し、少なくとも6年ほど前から、すべての「のり」を団体向けに出荷するという内容の「誓約書」を提出するよう、要請していたということです。

また、4年前までは「誓約書」を提出しなければ、のりの入札に参加できないことを、組合長名などの文書で通知していたということです。

公正取引委員会はおととし6月、2つの団体に立ち入り検査に入り、関係者からの聴取などを進めてきましたが、漁が認められなくなることなどをおそれ、自由な出荷を断念している生産者もいるなど、団体側の行為が不当な取り引きの拘束にあたると認定したということです。

今回の命令では
▽団体は、不当な行為を理事会での決議のうえ取りやめること
▽公正取引委員会の承認を受けたうえで、法を順守する指針を作り、定期的な研修を実施することなどを求めています。

排除措置命令は、独占禁止法が規定するもっとも重い行政処分で、漁協と生産者の取り引きをめぐり命令が出されたのは、1947年の法制定以降、初めてです。

一方、2つの団体は「高品質ののりを届け、組合に期待される役割を果たすため、取り組みを続けているが、生産者への強制はしていない」などと反論し、今後、命令の取り消しを求め、裁判で争っていく考えを示しています。

独自に入手 「誓約書」の内容とは

NHKが関係者から独自に入手した「乾海苔共販にかかる誓約書」という「佐賀県有明海漁業協同組合」の文書には、添加物や薬剤を使用しない、食品衛生に十分注意するなどといったのりの生産にあたっての遵守事項に加え、生産したすべての「のり」を、組合に出荷するよう努めること、販売先や価格は組合に一任することなどが記載されています。

関係者によりますと、佐賀県有明海漁業協同組合は、毎年、のり漁の時期に合わせて、生産者に対し、こうした「誓約書」の提出を求めてきたということです。

公取委「取り引き環境の整備を」

審査を担当した公正取引委員会の岡田博己第四審査長は15日の会見で「漁業分野でも独占禁止法の理解が進み、意欲ある漁業者が活躍できる場所、取り引き環境の整備につながるよう、今回の行政処分が一石を投じる形になってほしい」と述べました。

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