再稼働に向けた準備が進む中国電力島根原発2号機(松江市)について、地元住民らが運転差し止めを求めた仮処分申請で、広島高裁松江支部(松谷佳樹裁判長)は15日、差し止めを認めない決定をした。原発事故の「具体的な危険性」について、証明されたとは言えないなどとし、申し立てを却下した。

主な争点は、耐震設計で想定される揺れ「基準地震動」の妥当性や、避難計画の実効性など。

松谷裁判長は、基準地震動について、地域性を考慮する必要があるなどと指摘。住民側は2000年10月の鳥取県西部地震や11年3月の東日本大震災の揺れと比較し、「低水準で不合理だ」と主張していたが、「単純に数値の大小のみを比較することは合理的と言えない」と結論付けた。

住民側が訴えた避難計画の不備については、重大事故が発生する具体的危険性について十分な説明がなされていないなどと退けた。

島根2号機は全国で唯一、県庁所在市に立地し、1989年に運転を開始。事故を起こした東京電力福島第1原発事故と同型の沸騰水型軽水炉(BWR)で、中国電は今年12月の再稼働を予定している。

中国電力は「当社が主張してきた安全性などについて、裁判所の理解が得られたものと考えている」とするコメントを出した。

中国電力島根原発2号機の運転差し止めが認められず、「司法は住民を見捨てた」などと書かれた紙を掲げる住民=15日午前、松江市

中国電力島根原発2号機の運転差し止めを求めた仮処分申請で、広島高裁松江支部に向かう住民ら=15日午前、松江市

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