ボートレース江戸川(江戸川競艇場、東京都江戸川区東小松川3)に勤務していた同区の男性(64)が在職中に舟券を買ったとして、警視庁が男性をモーターボート競走法違反(舟券購入の禁止)の疑いで近く書類送検することが、捜査関係者への取材で分かった。最低額(1口100円)での小口購入を繰り返すなどし、利益はほとんどなかったが、2年間で約2万口230万円分を買ったという。  同庁小松川署によると、男性は競艇を実施する一般財団法人「モーターボート競走会」(東京)の江戸川支部職員。競艇に関して規定する同法では、競技の透明性を保つためなどから職員や選手が舟券を購入することを禁止している。

職員による不正があったボートレース江戸川=東京都江戸川区で

 送検容疑では、2023年5月1日と8月27日、いずれも同競艇場での業務中にスマートフォンアプリを使ったインターネット投票で、総額1400円分の舟券を買ったとされる。同署の調べに「職員が購入してはいけないと知っていたが、ナマで毎日、選手の状況が見られ、当たるとうれしくてやめられなかった」などと供述している。  関係者によると、男性は選手が落水・転覆した際に救助する「救助艇」に乗るレスキュー員で、選手の近くにいる立場だった。違反が発覚したことから競走会の聞き取りを受け、同年10月ごろに依願退職したという。競走会は14日、本紙の取材に「捜査に支障をきたすため、回答は差し控えます」とした。

 モーターボート競走法 公営ギャンブルの一つである競艇(ボートレース)の開催や競技施設の仕様、舟券の販売などについて定めた法律で、国土交通省などが所管。11条では日本モーターボート競走会の職員や選手、レースに関係する政府職員・自治体職員らの舟券購入を禁じている。

◆舟券購入、八百長事件、予想業者と接触した選手も

 競艇を巡る不祥事は相次いでおり、所管官庁の国土交通省は4月下旬、モーターボート競走会に対し、不祥事について速やかに報告するよう指導した。  最近では今年2月、20代の選手が過去に舟券を購入していたことが発覚し、選手登録を抹消された。22年にはトップ選手が、ネット上で予想業者と接触を持ったとして処分を受けた。20年にも選手の八百長事件が発覚。わざと着順を下げて知人に的中させた見返りに報酬を受けて逮捕され、実刑判決を受けている。  一方で競艇の人気は高まっており、競艇の23年度の売上額は4年連続の2兆円超えとなる2兆4200億円。若者などへのPR活動の奏功もあり、売り上げが伸びている。  モーターボート競走会は昨秋ごろまでに今回の違反を把握していたが、国交省に報告したのは半年が過ぎた今年4月中旬になってからだった。同省海事局総務課の担当者は「報告の遅れも含めて大変遺憾。競技の公平性、透明性を保つためにも、関係者には今後ともコンプライアンス(法令順守)を徹底してほしい」と話している。(小倉貞俊) 

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