沖縄が日本に復帰して、15日で52年。全国と比べて低所得の状況が続く中、近年、高齢者の貧困問題が顕在化している。戦後、日本から切り離され、米施政権下で年金制度の導入が遅れたことが遠因と言われており、沖縄県は今年、困窮状況を把握する初の実態調査に乗り出している。

 沖縄県内の65歳以上で無年金や受給繰り下げで年金を受け取っていない人の割合は6.2%(2022年)と全国平均の約2倍。国民年金の1人あたりの平均受給額は月5万1864円(同)で全国最下位が続く。

 日本では1942年に厚生年金の前身の制度、61年に国民年金の制度ができたが、戦後米国施政下に切り離された沖縄は70年に独自の制度を始めるまで空白期間が生じた。復帰後、5度にわたり過去分の追納を認めるなどの特別措置が講じられたが、納められずに無年金や低年金で老後を迎えている人が少なくない。

 高齢者人口は今後増加することから、県は実態を把握するため、今年2月から高齢者の困窮状況を聞き取る調査を始めている。60歳以上を対象に、社会福祉協議会や地域包括センターなどを通じて困窮の要因や住宅問題などを調べ、分析や対策につなげるという。(上地一姫)

 国土面積の0.6%の沖縄には、国内の米軍専用施設の70.3%が集中する。米軍普天間飛行場の移設計画では、国が昨年末、地方自治体の権限を奪う「代執行」に初めて踏み切り、名護市辺野古の新たな区域で工事が始まった。

 沖縄を含む南西諸島では、中国をにらんで自衛隊を強化する「南西シフト」が急速に進む。沖縄県内では陸自駐屯地の新設、ミサイル部隊の配備が相次ぎ、米軍艦が石垣島に寄港したり、日米が共同訓練をしたりする動きもある。4月には那覇空港や石垣港が、自衛隊や海上保安庁が平時から訓練に利用する特定利用空港・港湾に指定された。

 玉城デニー知事は「広大な米軍基地の存在が、県の振興を進める上で大きな障害となっている。(辺野古では)県民の理解が得られないまま工事が強行されている」とのコメントを発表した。(小野太郎)

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