東京都千代田区が発注した区立小・幼稚園の改築関連工事などの入札を巡り、業者に入札情報を漏らしたとして、官製談合防止法違反(入札妨害)の罪に問われた区の元行政管理担当部長吉村以津己(よしむら・いづみ)被告(62)の東京地裁公判で検察側は13日、懲役1年6月を求刑した。弁護側は執行猶予付きの判決を求めて結審した。判決は6月13日。

◆「あしき慣習」退職後、捜査2課に匿名で告発

 吉村被告は公判で、「当時の山口(正紀)副区長から、契約に関して嶋崎区議から問い合わせがあったら答えるように言われた」と繰り返し、自身だけでなく区の組織的な関与があったことを強調した。

1月24日、東京都千代田区役所に家宅捜索に入る警視庁の捜査員

 吉村被告によると、区の入札を担当する行政管理担当部長になった直後の2018年4月初旬、山口氏に呼び出された。山口氏は、これまでも幹部職員に対し同様の指示をしてきたとした上で「これからは吉村君に頼む」と命じたという。  この日の被告人質問では、入札情報漏えいを「あしき慣習」と指摘。「長年続いてきたことをやめるべきだと考えるようになった」と振り返り、区を退職後の22年8月、警視庁捜査2課に匿名の告発文書を送ったと説明した。

◆元副区長は「全くない」→「状況見極める」に変化

 山口氏は21年に2期8年務めた副区長を退任後、区が出資する「秋葉原タウンマネジメント」取締役に就任。昨年11月の本紙の取材には「全くそういうことはない」と自らの指示を否定したが、今年5月に再度取材すると「状況をしっかり見極めたい」と繰り返して言葉を濁した。  区は問題を受け、2月に再発防止策を検討する有識者会議を発足させた。議員による圧力を受けた経験などをアンケートで職員に聞いたが、対象は現役の職員で山口氏ら退職者は含まれていなかった。ある区議は「組織的関与があったんじゃないかと聞いても、区は何の説明もしない。議会側も真相を解明しようという動きが鈍い」と話す。(佐藤航) 

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