栃木夫婦殺害　被害の妻を殴打か、鈍器の血痕DNA一致

栃木県那須町で殺害された夫婦の遺体が焼損した状態で見つかった事件で、殺人容疑で再逮捕された手配役の男の車内から発見されたハンマーに付着していた血痕が、被害に遭った妻のDNA型と一致していたことが11日、捜査関係者への取材で分かった。警視庁は妻がハンマーで殴打されたうえで殺害されたとみて、経緯を調べる。

【関連記事】栃木夫婦遺体、「手配役」の男を殺人容疑で再逮捕

警視庁と栃木県警の合同捜査本部は11日、平山綾拳容疑者（25）を殺人容疑で再逮捕した。再逮捕容疑は4月15日深夜から同16日未明にかけ、東京都品川区の空き家のガレージ内で、宝島龍太郎さん（55）=東京都千代田区=と妻の幸子さん（56）=同区=の首を絞めるなどして窒息させ殺害した疑い。

事件は4月16日朝に発覚。那須町の山中の河川敷で全身が焼かれた宝島さん夫婦の遺体が見つかった。捜査本部は平山容疑者のほか、夫婦の長女の内縁の夫で事件を主導したとみられる関根誠端（せいは）容疑者（32）ら指示役や実行役とみられる男5人を死体損壊容疑で逮捕しており、5人についても殺人容疑での立件を視野に捜査する。

捜査関係者によると、平山容疑者は、関根容疑者から依頼を受けた佐々木光容疑者（28）から「夫婦を殺害し、焼くか埋めるよう依頼された」と供述している。実行役の若山耀人（きらと）容疑者（20）と姜光紀（カン・グァンギ）容疑者（20）に自身名義の車を貸し出し、遺体の処理を頼んでいたという。

宝島さん夫婦の死因は窒息死だが、妻の幸子さんの遺体の頭部には殴打痕が残っていた。空き家のガレージと平山容疑者の車内からは幸子さんの血痕が見つかった。車にあったハンマーに付いていた血痕が幸子さんのDNA型と一致したことが新たに判明。幸子さんはガレージで殴打されたり、首を絞められたりして殺害され、車で那須町まで運ばれたとみられる。

また平山容疑者の関係先から報酬とみられる約700万円が見つかったことも分かった。関根容疑者から佐々木容疑者には1千万円を超える報酬が支払われたとみられ、平山、姜、若山の3容疑者は「報酬を受け取った」と供述している。捜査本部は手配役や実行役らが報酬目的で事件に関与した可能性もあるとみて、指示系統や金銭の流れを調べる。