原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場の選定をめぐり、佐賀県玄海町の脇山伸太郎町長は10日、選定プロセスの第1段階の「文献調査」について、国からの実施の申し入れを受諾すると表明した。文献調査は北海道の寿都(すっつ)町と神恵内(かもえない)村に次いで3例目となる。玄海町には九州電力玄海原発があり、原発の立地自治体では初めて。

 脇山町長はこの日午前、非公開で開かれた町議会全員協議会(全協)で受諾する考えを伝えた。町長が記者会見で明らかにした。

 処分場の選定プロセスは3段階約20年に及び、文献調査はその入り口にあたる。市町村が応募するか、国からの申し入れを受諾することで実施が決まり、原子力発電環境整備機構(NUMO)が地質などの資料を机上で調べる。6月中にも調査が始まる可能性がある。文献調査を受け入れると、申請にもとづいて最大20億円の交付金が支給される。

 玄海町議会は4月26日、地元3団体から出された文献調査を求める請願を採択。5月1日には経済産業省幹部が町を訪れ、調査を申し入れた。

 これまで脇山町長は、町の地勢などから最終処分場に選定するのは難しいなどとして、「文献調査を受け入れる考えはない」「直接的な協力ではなく、最終処分への理解や関心が高まるような活動に取り組む」と繰り返し表明。だが、請願採択後は議会の判断を重視する姿勢も示していた。

 文献調査は2年程度で、その後、2段階目の「概要調査」に進む場合、知事の同意も必要になる。佐賀県の山口祥義知事は「最終処分場も含め、新たな負担を受け入れる考えはない」としている。(渕沢貴子)

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