シリア国籍の男性(36)が難民不認定処分の取り消しを国に求めた訴訟で、名古屋地裁(剱持亮裁判長)は9日、処分を取り消す判決を言い渡し、難民認定するよう国に命じた。
代理人弁護士によると、シリア人に対して難民不認定の決定を覆すよう命じる判決が出たのは全国で初とみられる。
判決によると、男性はシリア軍に対し徴兵の猶予を申し入れ、その後、シリア政府などを批判する集会を主催。徴兵を免れたまま、2019年に来日して難民申請したが、認められなかったという。
国側は、シリアにおいては兵役忌避に対し不当に重い処罰や恣意(しい)的な処罰がされていないと主張。だが判決は「シリアでは兵役忌避は犯罪であり、政府からは政治的・反政府的な行為とみなされる可能性が高い」と認定。「シリア政府から生命または身体の自由の侵害または抑圧を受けるおそれがあるという恐怖を抱くような事情が認められる」とし、難民に該当すると結論づけた。(奈良美里)
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