著書「帝国の慰安婦」の記述をめぐり、元慰安婦の名誉を傷つけたとして名誉毀損(きそん)の罪に問われた朴裕河(パクユハ)・世宗大名誉教授に対する差し戻し審で、韓国のソウル高裁は12日、無罪判決を言い渡した。
「帝国の慰安婦」は2013年に韓国で出版された。慰安婦の実態、旧日本軍や業者らの関与などを検証する内容だが、元慰安婦らの名誉を傷つける表現があるとして検察が15年に朴氏を在宅起訴した。一審判決では無罪だったが、控訴審は名誉毀損を認め、罰金1千万ウォン(約110万円)の支払いを命じる有罪判決を言い渡した。昨年10月、大法院(最高裁)が控訴審判決を「無罪の趣旨」で破棄し、差し戻していた。
ソウル高裁は12日の判決で、控訴審で有罪と認定した表現についても、「学問的な主張、意見の表明と評価するのが妥当」だとし、名誉毀損には当たらないとした。
裁判をめぐっては、学問や表現の自由と、学術研究に対する公権力の介入の是非が問われた。朴氏は12日の判決後、記者団に「心を尽くして助けてくれた多くの方々のおかげで、改めて感謝したい」と語った。(ソウル=稲田清英)
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