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イスラエル軍は、アサド政権の崩壊直後から潜在的な脅威への自衛的な措置としてゴラン高原でシリア側との境界に位置する緩衝地帯に侵入し、占拠しています。
このなかには標高2800メートルあまりありダマスカスを見下ろす位置にあるヘルモン山の山頂も含まれています。
今月17日にはネタニヤフ首相自らヘルモン山の山頂を訪れ、「安全保障のための取り決めができるまで駐留を続ける」と述べました。
同行したカッツ国防相は「われわれがここにいることでいまは穏健を装っているシリアの過激派勢力を抑止することができる」と述べシリアの新しい国づくりを主導するシリア解放機構への警戒心をあらわにしました。
こうした動きについて、かつてイスラエル軍でシリアとの国境地帯で任務についていたコーヘンさんはNHKの取材に「中東の情勢は極めて不安定で、誰も予想がつかない。駐留がどれほど長引くかは予想できない。過激派勢力がドルーズ派もユダヤ人もお構いなしに攻撃するような事態は避けなければならない」と述べました。
一方、シリア側は反発しています。
シリア解放機構のジャウラニ指導者はBBCとのインタビューで、「ヒズボラとイランの民兵はシリアから追い出すことに成功したので、もはやイスラエル軍はシリア領内への侵攻を正当化することはできない」と述べました。
国連のグテーレス事務総長もイスラエルに緩衝地帯から撤退するよう求めています。
イスラエル政府はゴラン高原の入植活動も強化する構えで15日、人口を倍増させる計画を承認したと発表しました。
地域の教育支援や再生可能エネルギー施設の整備などに今後、4000万シェケル、日本円で17億円の予算を投じるとしています。
こうした動きについて、ゴラン高原でシリアの人々が多く暮らすマジダルシャムスのアブサレフ町長はNHKの取材に対し、「私たちは国交のない2つの国の間にいる。イスラエルのユダヤ人だけでなくドルーズ派の人々にも平等に予算が配分されることが重要だ」と話していました。
ゴラン高原とは
シリアのゴラン高原は1967年の第3次中東戦争の結果、イスラエルが占領し、1981年に一方的に併合しました。
現在のゴラン高原の人口の半分以上は入植したユダヤ人ですが、併合された後もシリア系住民およそ2万5000人が暮らしています。
シリア国内では少数派のイスラム教ドルーズ派の人々でその多くはイスラエル国籍の取得を拒んで暮らしています。
NHKが2012年、独裁的なアサド政権の時代にゴラン高原の町、マジダルシャムスを取材したときは、イスラエルの占領下でもシリア国旗を掲げてアサド政権を支持する姿勢を示していました。
ところが、アサド政権の崩壊からおよそ10日後の今月19日、NHKが再び町を訪ねたところ、変化が起きていました。
広場に掲げられる旗は、アサド政権を崩壊させたシリア解放機構が新たな国旗とする旗に切り替わっていたのです。
町の人はいま
町で生まれ育ったハラビさん(54)は、「アサドが逃げて政権が崩壊したという連絡を聞き、うれしさのあまり泣き、2日間、眠れませんでした。シリアの新たな政権がイスラエルとの間で真の平和を実現してくれることを願っています」と話していました。
一方で、懐疑的な見方を示す人もいます。
シリアのテレビ局の仕事をしてきたという、ジャーナリストのファルハトさん(52)は、「現在の暫定政権を主導するのはアルカイダ系の過激派でシリアの人々にとって非常に危険な存在だと思う。このまま彼らが政権にとどまれば再び内戦になるような事態が起きかねない」と述べシリア情勢が安定に向かうか注視していると話していました。
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