ロシア中央銀行は20日、金融政策を決める会合を開き、政策金利を現在の21%のまま据え置くことを決めました。
これについてロシア中央銀行は声明で「金融環境が大きく引き締められ、インフレ率を目標に戻すのに必要な前提条件が作り出されている」と説明しています。
ロシアではウクライナ侵攻の長期化で巨額の軍事費が経済を浮揚させてきましたが、同時に物価高が進み、中央銀行はことしのインフレ率を9.5%とみています。
このため、ロシア中央銀行は政策金利を大幅に引き上げてきましたが、企業関係者からは高い金利が企業活動に悪影響を及ぼすなどと批判の声が上がっていました。
こうした中、プーチン大統領は、19日の記者会見で「中央銀行は景気を冷やすためにもっと早く政策金利の引き上げ以外の手段を使うこともできたはずだ」と述べていました。
JETRO所長「大きな伸びも見込めず低位安定ではないか」
JETRO=日本貿易振興機構モスクワ事務所の梅津哲也所長はロシアでインフレが進んでいる要因について「軍需が大きく引っ張っている。民間の商品は需要に応えられておらず、物が不足することで需要が強くなり高インフレになっている」と指摘しました。
また、中央銀行が利上げを続けていることについて「企業が借りるべき資金の金利が高く、そのために借り入れができなくなれば、ビジネス全体にとってはマイナス要因の1つだ」と分析しています。
特に、人手不足が深刻になる中では、人にかわって作業を行うロボットの導入などが必要であるものの「現在の高金利によって思うように進んでいない面がある」としています。
そのうえで、今後のロシア経済については「今のところ中央銀行の独立性は担保されているように見られる」としたうえで「いまの政策が維持されれば、急にマイナス成長になる可能性は少ないが、大きな伸びも見込めず、低位安定ではないか」と述べ、高い成長は見込めないとの見通しを示しました。
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