日韓首脳間の意思疎通をテコに関係改善に動いていたが、厳しい状況へ後戻りする懸念が高まる

韓国国会で14日、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の弾劾訴追案が可決されたことを受け、日韓外交は事実上の停止状態に陥る。首脳間の意思疎通をテコに関係改善に動いていたが、厳しい状況へ後戻りする懸念が高まる。2025年の国交正常化60年に向けた協力機運にも影響を及ぼす。

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尹氏は弾劾可決により大統領の職務が停止される。外務省幹部は「今は日本が表立ってやりとりしないほうがいい」と話し、韓国国内の政治情勢を見守る必要があるとの見方を示した。尹氏が日韓の関係改善を主導したことに批判が高まっている状況を踏まえ、慎重な対応をすべきだと指摘した。

日本政府は25年に首脳間の相互訪問「シャトル外交」を使い、尹氏の来日を要請しようとしていた。国交正常化60年に合わせて関係を軌道に乗せる機会と位置づけていた。日中韓の首脳会談(サミット)を日本で開く予定もあるが、実現は韓国の状況次第になる。

外交に加え防衛当局間のやりとりも混乱している。金龍顕(キム・ヨンヒョン)前国防相の逮捕で年末に計画していた中谷元防衛相の9年ぶりの訪韓も中止せざるを得なくなった。日韓2カ国の共同訓練といった関係強化の具体策を議論する予定だった。

岸田文雄前首相と尹氏の間で外交交渉は23年以降に活発になったが、防衛当局間は少し遅れて動き出していた。18年に発生した韓国軍による自衛隊機へのレーダー照射の問題に今年6月にけりをつけたことで、防衛交流の再開を見込んでいた。

日韓関係が悪化すれば中国が双方への個別の働きかけを強め、米国との引き離しを試みるとの見方がある。日米韓では対中国の経済安全保障での連携や北朝鮮のミサイル発射の情報共有などを進めている。

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