中国の習近平国家主席㊧は「フランスとともにパリ五輪期間中の戦闘停止を呼びかける」と表明した(パリ、6日)=ロイター

【パリ=北松円香】フランス訪問中の中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席は6日、マクロン大統領との会談後の共同記者会見で「フランスとともに(今年夏の)パリ五輪期間中の全世界における戦闘停止を呼びかける」と表明した。ロシアのウクライナ侵略に関連し「中国は平和の実現のために積極的な役割を果たしてきた」と強調した。

同時に「この危機に乗じ、第三国に責任をかぶせてイメージを悪化させ、新たな冷戦を引き起こすことは反対する」と発言。中国がロシアに軍事転用可能な部品などを輸出しているとされる問題について、米欧からの批判に反論した。

仏AFP通信は仏外交筋の見方として、五輪期間中の戦闘停止がより長期的な休戦などに向けた「政治的なプロセスのきっかけになりうる」と伝えた。

マクロン氏は「ロシアと中国の古い絆に敬意を表する」と述べた。「この複雑な状況で、ロシアに武器を売らず支援も提供せず、軍事利用可能な材の輸出を厳しく管理するとの中国当局の約束に前向きに受け止める」と強調した。

両首脳の会談に合わせて農産物や航空、人工知能(AI)など幅広い分野の政府間合意や企業間の契約などがまとまった。この日発表した合意事項や覚書、共同声明は37にものぼる。

仏企業アルストムは北京市や湖北省武漢市、安徽省合肥市の地下鉄向け電気システムを受注した。また仏企業スエズは汚泥処理に関するシステムを東莞市から受注した。AFPによると1億ユーロ(約165億円)近い契約だという。

習氏は中国に短期滞在する仏観光客についてのビザの免除措置を、2025年末まで延長するとも発表した。

中仏の間でくすぶっていた「コニャック問題」への懸念も、首脳会談でいったん後退したようだ。中国はフランスが輸出するコニャックに競争法違反の疑いがあるとして調査を進めていた。

コニャックに関する中国の動きは欧州連合(EU)による中国製電気自動車(EV)の補助金調査の報復だとみられている。仏側はコニャックに高額な関税がかけられるとの懸念を強めていた。

仏大統領府の高官は両首脳の声明発表後、記者団に対し「関税は当面回避された」と明らかにした。仏メディアによるとマクロン氏はこの日、習氏にコニャックを贈ったという。

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