【ニューヨーク=佐藤璃子】12日の米債券市場で長期金利が一時4.3%超まで上昇し、11月25日以来およそ2週間ぶりの高水準を記録した。同日発表の11月の米卸売物価指数(PPI)の伸びが市場予想を上回り、インフレ高止まりを警戒した米国債売りが進んだ。
米長期金利の指標になる10年物国債利回りは一時、前日比で0.07%近く上昇(債券価格は下落)した。6日に付けた直近の低水準と比べ、0.2%ほど高くなった。12日は政策金利の動きに敏感な2年債利回りも前日比0.04%ほど上昇した。
朝方発表の11月のPPIは前月比0.4%上昇とダウ・ジョーンズ通信がまとめた予想(0.2%上昇)を上回った。前年同月比の伸び率は2.6%から3.0%に加速した。
11日発表の11月の米消費者物価指数(CPI)は前年同月比の上昇率が2.7%と事前予想通りだったものの、伸びは2カ月連続で加速。一連の物価指標でインフレの高止まりリスクが意識され、米連邦準備理事会(FRB)の利下げシナリオにも影を落としている。
市場は来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)での0.25%の利下げ実施をなお確実視する一方、2025年はより慎重に利下げを進める展開を想定している。PNCファイナンシャル・サービシズ・グループのシニア・エコノミスト、カート・ランキン氏は「FRBは25年に合計0.5%の利下げを実施するだろう」と指摘。
FOMC参加者が9月に示した「25年に4回」の中心シナリオよりも利下げ回数が少なくなると見る市場参加者が多く、こうした見方が米国債利回りの上昇を誘った。
金利上昇を受け、12日の米株式市場では売りが優勢になった。ダウ工業株30種平均は6日続落し、前日比234ドル(0.5%)安の4万3914ドルで終えた。個別では医療保険最大手ユナイテッドヘルス・グループが3%安、建機大手キャタピラーや米ホームセンター最大手のホーム・デポが2%安となった。
最近上昇が目立っていたハイテク株の一角に利益確定売りも出やすく、前日に初めて2万の大台を超えたテック株比率の高いナスダック総合株価指数は0.7%安で終えた。
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