石油メジャーのエクソンモービルは化石燃料への投資を続ける=ロイター

【ヒューストン=花房良祐】石油メジャーの米エクソンモービルは11日、石油・天然ガスの生産量を2030年までに24年見通しより18%多い日量540万バレル(原油換算)に増やすと発表した。足元の石油需要は弱含むうえ中長期の脱炭素化の懸念はあるものの、同社は先々の需要は底堅いとみて開発投資も積み増す。米シェールの生産を増やすと公約するトランプ前大統領の政策方針も追い風だ。

トランプ次期政権は公有地における石油掘削の許認可やリースを加速する方針。財務長官の指名候補者は日量300万バレルの増産構想を掲げる。バイデン政権では資源開発の許認可が厳しく、石油業界は事業環境が悪化したと批判していた。

エクソンは11日、設備投資を25年に270億〜290億ドル、26〜30年に年280億〜330億ドルとし、24年の260億ドル程度から増やす。ダレン・ウッズ最高経営責任者(CEO)は「エネルギー転換のペースや規模にかかわらず、30年までとそれ以降の収益の成長と株主価値を確保する」とコメントした。

最終利益は30年に、24年見通しに比べ200億ドル増加する可能性があるとした。24年12月期の市場予想は約347億ドルだった。

米シェールと南米ガイアナのいプロジェクトが収益の柱になる。

米南部テキサス州などで30年まで日量230万バレルのシェール生産を計画する。南米ガイアナの海底油田では30年までに8隻の浮体式石油生産設備(FPSO)を稼働させ、同130万バレルを生産する。

LNG販売は30年に年4000万トンとする。25年末までに米テキサス州で千代田化工建設などが建造する新規プラント、中東カタールの増産プラントを相次ぎ稼働させる。さらにパプアニューギニアで25年、モザンビークで26年に新規事業の投資決定を見込む。

二酸化炭素の回収・貯留(CCS)ビジネスを巡っては、契約数量が年670万トンとなった。30年までに3000万トンを目指す。水素・アンモニア事業の開発も続け、テキサス州のプラントは29年の稼働開始を計画する。

低炭素ビジネスの利益は30年まで24年比で20億ドル増加するという。24年の利益額は公表していないがほとんどないとみられる。

株主還元も強化する。自社株買いは25〜26年に年200億ドルを実施する。42年連続で増配しており、株価指数「S&P500」の構成銘柄のうち4%の企業しか実施できていない記録という。

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