仲介国のエジプトで行われてきたイスラエルとハマスの間での戦闘の休止と人質の解放に向けた交渉についてハマスは5日「今回の交渉は終了した。代表団は仲介役にこれまでの提案に対しての回答を渡し、今夜カイロを離れる」と発表しました。

これに先立ちハマスのハニーヤ最高幹部は声明で「イスラエルの侵略を終わらせ、軍が撤退することを保証し、人質交換を実現する包括的な合意に達することを求めている」などと述べ、合意には完全な停戦が必要だという立場を繰り返しました。

一方、イスラエルのネタニヤフ首相は5日「イスラエルは人質解放のため、戦闘を休止する用意がある。しかし、ハマスは極端な立場に固執したままで、それを受け入れることはできない」などと述べ、あくまでハマスの壊滅を目指す従来の主張を繰り返し、事態打開の糸口を見いだせるかどうかは依然、不透明な情勢です。

交渉の一方でハマスは5日、ガザ地区との境界にあるケレム・シャローム検問所付近にいたイスラエル兵に対し、ロケット弾で攻撃したと発表しました。

イスラエルメディアは少なくとも10人がけがをしたと伝え、イスラエル軍は攻撃の起点となった場所を空爆したなどと発表していて、緊迫した状況が続いています。

イスラエル首相 中東TV局アルジャジーラの現地事務所閉鎖発表

イスラエルでは先月政府が国家の安全を脅かしているとみなした外国メディアに対して、事務所の一時閉鎖や放送の停止などの規制が可能となる法案を賛成多数で可決しました。

こうした中、イスラエルのネタニヤフ首相は5日「政府は全会一致で、扇動チャンネルであるアルジャジーラをイスラエルで閉鎖することを決定した」とSNSで明らかにしました。

これに対してアルジャジーラは「イスラエルはみずから行っている犯罪を覆い隠すために、記者の殺害や拘束で自由な報道を弾圧しているが、これによってわれわれの使命達成を妨げることはできない」などと声明を発表し、イスラエルの決定を非難しました。

アルジャジーラによりますと、新たな法律では、国内にある事務所の一時閉鎖や放送の停止に加え、ウェブサイトの閲覧も規制できるほか、撮影機材の没収なども可能になると伝えています。

NHKのエルサレム支局では現地時間の午後、アルジャジーラの放送が見られなくなり、暗くなった画面にはヘブライ語で「政府の決定で、イスラエルでのアルジャジーラの放送は停止された」という字幕が表示されました。

ネタニヤフ首相は以前から、イスラエル軍が攻撃を続けるガザ地区の被害の様子を連日、現地から伝えているアルジャジーラの報道内容について批判を強めていて、この法律もアルジャジーラの活動停止が目的だったとみられています。

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