【ヒューストン=花房良祐】2018〜19年に起きた米ボーイングの小型機「737MAX」の2回の墜落事故で米司法省と同社が合意した司法取引について、米南部テキサス州の連邦地裁が却下したことが5日分かった。事故の再発防止策を監視する独立機関のメンバーを選ぶ際、DEI(多様性、公平性、包摂性)を基準にしているのは誤りだと指摘した。
米国ではバイデン大統領の民主党政権下で進んだDEIに対し、保守派の反発が広がっている。トランプ前大統領が大統領選に勝ったことで加速し、低迷する名門企業と司法当局の合意を巡って、米国の文化的な分断が思わぬかたちで影響した格好だ。
18〜19年の墜落事故を巡っては、従業員が安全情報を当局に隠蔽したことが原因だとする司法当局の主張を認め、ボーイングは21年に司法省といったん司法取引で合意した。和解金を支払ったうえで、安全対策を強化するとした。
2024年1月に飛行中の737MAXの胴体に穴が開く事故が発生したため「再発防止策を怠った」として司法省は再び捜査。同年7月に、独立機関の監視も受け入れるなど新たな条件を加えた内容の取引で両者が合意していた。
この合意のもと、独立機関の選定はDEIを基準にするとしていたが、テキサス州の保守派の判事が「裁判所の役割を軽んじている」として批判し、合意そのものを却下した格好だ。
テキサス州の連邦地裁はボーイングと司法省に対し30日以内に今後の対応について報告するように求めた。
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