中国の習近平国家主席は、5日から今月10日までの日程で、フランス、セルビア、それにハンガリーの3か国を訪問します。習主席のヨーロッパ訪問は、5年ぶりです。

このうち、ことし国交樹立から60年となるフランスでは、習主席は、マクロン大統領と会談し、両国関係のほかウクライナや中東をめぐる情勢などについて意見を交わす見通しです。

またフランスでは、マクロン大統領のほか、EU=ヨーロッパ連合のフォンデアライエン委員長を含めた三者でも会談し、中国とEUの関係について協議する予定です。

その後、習主席は、セルビアでブチッチ大統領と、ハンガリーでオルバン首相とそれぞれ会談し、巨大経済圏構想「一帯一路」を通じた協力の成果を確認するということです。

今回の訪問について、中国外務省は「中国とヨーロッパとの関係全体に重要な意義があり、世界の平和と発展に新しいエネルギーをもたらすだろう」と期待を示しています。

習主席はことし3月以降、中国を訪問したドイツのショルツ首相やオランダのルッテ首相とも相次いで会談していて、中国としては、ヨーロッパ各国との関係を強化することで、安全保障や先端技術などをめぐって対立が続くアメリカをけん制するねらいがあるとみられます。

中国専門家「ヨーロッパは最も重要なパートナー」

中国の習近平国家主席のヨーロッパ3か国訪問について、中国とヨーロッパの関係に詳しい中国人民大学の王義※ガイ教授はNHKとのインタビューで、「ヨーロッパは、『政治の多極化』と『経済のグローバル化』を追求する中国にとって、最も重要なパートナーだ」と述べ、アメリカを中心とする国際秩序に対抗する意味でもヨーロッパとの関係構築が重要だという認識を示しました。

とりわけ、フランスについて、王教授は「フランスは『独立自主』の外交方針だ。中国はアメリカに従属したくないというフランスを重視している」と述べ、中国は独自の外交路線を進めるフランスとの関係を重視していると指摘しました。

また、ヨーロッパで中国経済への過度な依存の解消を目指す動きが出ていることについて、王教授は、フランス産のワインや化粧品といった高級品を例に挙げ「中国には4億人の中間層がいる。フランスにとって、中国は切り離せない市場でありパートナーだ」と述べ、経済的な結び付きを強めるメリットを強調しました。

また王教授は、「気候変動対策や新エネルギー、デジタル化などの分野でも中国の取り組みは非常に効率的で、ヨーロッパは中国との協力を余儀なくされている」と述べたうえで、ヨーロッパ側はアメリカとともに中国を抑え込むのではなく、協力を通じて自国の競争力を高めるべきだと主張しました。

さらに、ヨーロッパ各国が懸念を示すロシアによるウクライナ侵攻について「西側諸国とロシアの関係はこう着状態にあり、中国が調整役を果たすことができる」と述べ、中国は事態の打開に向けて一定の役割を担うことができるという考えを示しました。

※ガイは木偏に危

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