韓国ではユン大統領が「非常戒厳」を一時宣言したことを受けて、最大野党「共に民主党」などの野党6党が大統領の弾劾を求める議案を国会に提出しました。
国会議員300人のうち、3分の2以上が賛成すると可決されますが、野党側だけでは達していないため、可決には与党「国民の力」の少なくとも8人が賛成に回ることが必要です。
一方で与党のハン・ドンフン(韓東勲)代表は5日「混乱によって生じる被害を防ぐため」として、党として弾劾に反対する考えを改めて強調しました。
ただ、与党内でも突然の「非常戒厳」の宣言に反発の声が出ていて、ハン代表は「違憲の戒厳を正当化できない」と述べて、ユン大統領に離党を求めています。
また、5日はユン大統領と距離を置く与党議員5人が会見を開き「弾劾による国政のまひを防ぐためにも必ず必要な措置だ」として、ユン大統領に謝罪を求め、大統領の任期を短縮する憲法改正が必要だと訴えました。
5人のうち1人は、弾劾の議案への対応について「具体的な立場を決めた状況ではない」と明言を避けました。
野党は弾劾の議案について7日の採決を目指していて、与党内が一枚岩とは言い切れないなかで、与党議員の動向が焦点となります。
韓国軍高官ら「非常戒厳」宣言など事前に知らされずと証言
韓国軍の高官らは、ユン・ソンニョル大統領による「非常戒厳」の宣言や、国会への部隊の投入について、事前に知らされていなかったと相次いで証言しました。
宣言を受けて戒厳司令官を務めたパク・アンス(朴安洙)陸軍参謀総長は、国会への部隊の投入について5日、国会で開かれた国防委員会の質疑で問われ「投入を知らなかった。私は命令していない」と述べました。
また、キム・ソノ(金善鎬)国防次官は「非常戒厳」の宣言について「報道で知った」と述べて、事前に知らされていなかったと説明しました。
そして、誰が国会への部隊投入を指示したのかを問われると「国防次官は指示する立場にはなく、兵力投入の指示は国防相が行った」と述べて、5日、辞任が認められたキム・ヨンヒョン(金龍顕)前国防相の指示だったと明らかにしました。
韓国メディアによりますと、キム前国防相はユン大統領と同じ高校の1学年上の先輩にあたり、大統領の最側近だということです。
5日の朝に辞任が認められたため、委員会の審議に出席しませんでしたが、ユン大統領に対して「非常戒厳の宣言を建議した」と報じられています。
韓国メディアは、検察がキム前国防相の出国を禁止して、捜査に着手したと一斉に伝えています。
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