国軍と武装勢力の戦闘が長期化するミャンマーで、自宅などを追われた国内避難民が300万人を超えた。国連が3日、発表した。政治的混乱が収まる気配はなく、避難民は今後も増え続けるとみられている。
大量の避難民が出る大きな原因は、2021年2月の国軍によるクーデターだった。クーデター後、平和的なデモで抗議する市民への武力弾圧を始めた国軍に対し、市民の一部が武装化し、国内各地で国軍への闘争を続けてきた。
国軍による空爆で村が焼き払われたり、国軍と武装勢力の戦闘に巻きこまれたりして、家を追われる一般市民が急増。国連によると、クーデター以降に発生した避難民が270万人を占める。また、全体の3分の1が子どもとみられ、国連は「紛争により、子どもたちの教育や未来が覆されている」と危惧する。
ただ、国外に逃れた人数は含まれず、実際の避難民はより多いとみられている。
昨年10月、自治権拡大などを狙う複数の少数民族武装勢力が国軍への大規模攻撃を始め、戦線が拡大したことも増加を加速させた。国連は、この半年間だけで国内避難民の数が50%増えたと報告した。
避難民の発生場所は、民主派勢力と国軍の衝突が多発する北西部ザガイン管区(3月時点で約120万人)が圧倒的に多いほか、西部ラカイン州(同約34万人)、東部カレン州(同約18万人)など全国にわたる。
人道支援が必要な市民は、ミャンマー総人口の3分の1にあたる1860万人に上る。支援金は1年間の活動に必要な分の5%未満しか集まっておらず、国連は緊急支援を訴えている。(ヤンゴン=笠原真)
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