ソウルの繁華街・梨泰院(イテウォン)で159人(関連死を含む)が死亡した雑踏事故をめぐり、事故原因の再調査を行う特別調査委員会の設置などを定めた特別法案が2日、韓国国会の本会議で与野党の賛成多数で可決された。野党や遺族らが求める特別法には政権与党が反対していたが、4月の総選挙での大敗を受けて柔軟な姿勢に転換した。

 事故は尹錫悦(ユンソンニョル)政権下の2022年10月に起きた。法案は今年1月、過半数を占める最大野党・共に民主党の賛成多数で可決されたが、警察での捜査がすでに行われているとして、与党は政権攻撃が目的だと主張。尹氏が拒否権を行使した。だが与党・国民の力が総選挙で大敗。尹氏は先月29日に共に民主党の李在明(イジェミョン)代表との会談で、特別法について「無条件に反対するわけではない」と述べ、方針を転換した。

 梨泰院の雑踏事故をめぐっては、韓国警察庁の特別捜査本部が昨年1月、安全対策や通報への対応などが不十分だったとする捜査結果を発表した。警察関係者らが逮捕・書類送検されたが、遺族らは警察による身内の捜査であり、真相の究明は不十分だと批判していた。(ソウル=太田成美)

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