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国連 安保理 ウクライナ外相 “世界の秩序脅かされている”
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アメリカ “長距離ミサイル使用許可”にロシア反発
首都キーウ中心部の独立広場では軍事侵攻で戦死した兵士の名前が書かれた国旗などが立てられていて、訪れた人たちが、花を手向けて亡くなった兵士を追悼する姿がみられました。
ロシアはミサイルや無人機による攻撃を繰り返していて、キーウの当局はこの1000日間に首都に対し1600機を超える無人機と900発以上のミサイルによる攻撃があったとしています。
ウクライナの当局によりますと18日夜には北東部スムイ州にある教育機関の寮がロシア軍の無人機攻撃を受け、子ども1人を含む9人が死亡したということです。
ゼレンスキー大統領はSNSへの投稿で、プーチン大統領が戦争の継続を望んでいるとして、徹底抗戦していく姿勢を強調しました。
イギリス国防省“10月 ロシア軍の1日あたり死傷者最多”
イギリス国防省は18日、ウクライナ軍参謀本部の情報として、10月のロシア軍の1日あたりの死傷者が1354人にのぼったとSNSに投稿しました。
1日あたりの死傷者数としては最も多くなったとしています。
また、11月に入ってからの死傷者も最初の12日間で1498人にのぼっていて、死傷者の増加傾向が続く見通しだとしています。
その背景としてウクライナ軍が越境攻撃を続けているロシア西部のクルスク州やウクライナ東部などで、犠牲をいとわないとされるロシア軍が攻勢を強めていることがあると指摘しています。
一方、アメリカ国防総省のシン副報道官は18日、ロシア側の1日あたりの死傷者についておよそ1200人との見方を示しています。
国連 安保理 ウクライナ外相 “世界の秩序脅かされている”
国連の安全保障理事会で閣僚級の会合が開かれ、ウクライナの外相は北朝鮮の弾道ミサイルの部品だとする残骸を手に発言し、ロシアと北朝鮮の関係強化によって世界の秩序が脅かされていると訴えました。
18日に開かれた安保理の会合で、国連のディカルロ事務次長は、2022年2月にロシアがウクライナに侵攻して以降、600人以上の子どもを含む少なくとも1万2164人の民間人が死亡し、680万人以上が国外に逃れたと報告しました。
さらに、少なくとも580の医療施設や1300か所以上の教育施設が被害を受けたなどと指摘し、「この戦争は終わらせなければならない」と呼びかけました。
また、ウクライナのシビハ外相は、ロシアと北朝鮮やイランとの関係強化について、「新たな枢軸の活動は世界秩序を脅かしている。北朝鮮軍の関与は戦争の世界的な拡散を意味する」と述べた上で、自国への攻撃に使われた北朝鮮製の短距離弾道ミサイル「KN23」の部品だとする残骸を手に市民に被害が及んでいると訴えました。
一方、ロシアのネベンジャ国連大使は、アメリカのバイデン大統領がウクライナに対し射程の長いミサイルを使用してロシア領内を攻撃することを許可したと報じられていることについて「自滅的行為だ」と反発し、「ウクライナはどのような西側の武器を与えられても敗北から逃れられない」とけん制しました。
アメリカ “長距離ミサイル使用許可”にロシア反発
侵攻が長期化する中、アメリカのバイデン大統領がウクライナに対しロシア領内への攻撃にアメリカが供与した射程の長いミサイルの使用を許可したと報じられ、ロシア側は反発しています。
アメリカの複数のメディアは17日、アメリカ政府当局者の話として、バイデン大統領がウクライナに対し、すでに供与した射程の長いミサイルATACMSをロシア領内への攻撃に使用することを許可したと報じました。
ロシア西部のクルスク州で越境攻撃を続けるウクライナ軍を防衛するため、ロシア軍と北朝鮮軍の部隊に対し使用される見通しだと伝えています。
これに対し、ロシア大統領府のペスコフ報道官は18日、記者団の取材に対し「本当にそのような決定がなされ、ウクライナ側に伝えられたのならば、新たな緊張の段階に入ることになる」と述べ、反発しました。
ロシアのプーチン大統領は、ことし9月、欧米が射程の長い兵器の使用を認めれば「NATO=北大西洋条約機構の国々がロシアと戦うことを意味し、紛争の本質を変える」と発言していて、報道官の発言は、欧米を強くけん制するロシアの立場をあらためて強調した形です。
北朝鮮がロシアに部隊を派遣して軍事協力を進展させるなか、さらに緊張が高まる可能性があります。
ウクライナ外相 “ゲームチェンジャーの可能性”
アメリカのバイデン大統領がウクライナに対して、ロシア領内への攻撃にアメリカが供与した射程の長いミサイルの使用を許可したと報じられていることについて、ウクライナのシビハ外相は18日、国連で記者団の取材に応じ、「簡単にいえばゲームチェンジャーとなる可能性がある」と述べ、戦況を大きく変える可能性があると期待を示しました。
その上で「ウクライナの立場は常に明確で、われわれにはロシア領内の軍事目標を攻撃する完全な権利がある。それは正当な権利であり、われわれの市民の命を救う」と述べ、ウクライナに対するインフラ攻撃などの拠点となっているロシア領内の軍事施設を攻撃することは自衛権の行使だと強調しました。
米高官 北朝鮮兵力投入が判断に影響与えた可能性示唆
アメリカのホワイトハウスで安全保障政策を担当するファイナー大統領副補佐官は18日、訪問先のブラジルでATACMSの使用の許可に関する報道について記者団の取材に応じました。
この中でファイナー副補佐官は報道の内容の確認は避けたものの「アメリカは戦況に応じて政策を決定すると明言してきた」と述べました。
その上で判断のもととなる「戦況」について、「ここ数日、数週間の外国兵力の自国領内への展開など、ロシアによる重大な事態の深刻化を含めてだ」と述べ、北朝鮮の兵力が投入されたことが、アメリカ側の判断に影響を与えた可能性を示唆しました。
さらに「状況が変化し、展開すれば、われわれの対応も変化していく。そして、ウクライナ人が自国の領土と主権を守り続けることができるようにしていく」と述べて、ウクライナへの支援を継続する考えを強調しました。
ロシア軍事アカデミー代表団がピョンヤンに到着
北朝鮮の国営メディアは、ロシア軍参謀本部の軍事アカデミーの代表団が、18日、首都ピョンヤンに到着したと伝えました。
包括的戦略パートナーシップ条約が両国で批准手続きを終えたこと受け、軍事交流を加速させるねらいとみられます。
北朝鮮の国営メディアは、ロシア軍参謀本部の軍事アカデミーの代表団が、18日、ピョンヤンに到着し、キム・イルソン軍事総合大学の幹部らが出迎えたと伝えました。
ロシアによるウクライナ侵攻が長期化する中、北朝鮮の部隊がロシアに派遣されるなど両国の軍事協力は深まっています。
今回の訪問の目的は明らかにされていませんが、有事の際の軍事的な支援などを明記した包括的戦略パートナーシップ条約が両国で批准手続きを終えたこと受け、軍事交流をさらに加速させるねらいとみられます。
キム・ジョンウン総書記 ロシア天然資源環境相と面会
また、国営メディアは、キム・ジョンウン総書記がピョンヤンを訪問しているロシアのコズロフ天然資源環境相と18日、面会したと伝えました。
キム総書記は、条約によってさまざまな分野での連携が緊密になったと評価したうえで、「政府間の貿易・経済・科学技術の交流および協力を一層幅広く促進することで、両国の発展を強力に後押ししていくべきだ」と強調しました。
北朝鮮としては一連の高官などの訪問を伝えることで軍事面に加えて幅広い分野での協力が拡大しているとアピールした形です。
【動画】ロシアの軍事侵攻から1000日を迎えたウクライナを取材
ロシアがウクライナへの軍事侵攻を始めて1000日となる中、大きな転換点となりそうなのが、アメリカの大統領選でのトランプ氏の勝利です。
アメリカの支援を受けてきたウクライナでは不安の声が上がる一方、事態の打開を期待する声も聞かれました。
リポート(3分41秒)
ウクライナ駐日大使 復興支援の継続を求める
ロシアによる侵攻が始まってから19日で1000日となるのにあわせてウクライナのコルスンスキー駐日大使が都内で記者会見を行い、これまでに学校や病院などおよそ20万の建物が破壊されたと明らかにした上で日本に対し、インフラ分野をはじめとする復興支援の継続を求めました。
ウクライナのコルスンスキー駐日大使は19日、都内にある日本外国特派員協会で記者会見を開きました。
この中で、コルスンスキー大使はロシア軍のミサイルや無人機による攻撃でこれまでに学校や病院などおよそ20万の建物が破壊されたと明らかにしました。
その上で「われわれは復興の時期に日本の経験を生かせるよう懸命に取り組んでいる。それが今後も続くことを願っている」と述べ、日本に対しインフラ分野をはじめとする復興支援の継続を求めました。
また、ロシアとの軍事協力を深める北朝鮮の兵士が戦闘に参加していることについては「彼らはロシア語を理解できず、意思疎通がとれていない。深刻な問題はない」と述べ、戦況への影響は限定的だとの見方を示しました。
一方で「北朝鮮が軍事技術の面でより洗練されれば、東アジアにとって直接的な脅威だ」と述べ、ロシアによる北朝鮮への見返りを注視する考えを示しました。
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