スピリット航空はコロナ禍以降の需要減少で赤字が続いていた

【ニューヨーク=川上梓】米格安航空会社(LCC)大手のスピリット航空は18日、日本の民事再生法に当たる米連邦破産法第11条(チャプター11)を申請した。新型コロナウイルスの影響による需要減少や価格競争を背景に赤字が続いていた。

ニューヨーク南部地区の連邦破産裁判所に申請した。発表によると既存の債権者から3億5000万ドル(約540億円)の株式投資を受けることで合意した。

破産申請手続き中も運航やチケット販売は継続するとしている。英ロイター通信によると、同社は裁判所への提出書類で資産と負債は「10億ドルから100億ドルの範囲」と報告している。

同日の声明でスピリットは「破産手続きは債務保有者の過半数に支えられており、債務を削減し、財務の柔軟性を高めることが可能だ」と述べた。

スピリットは新型コロナ以降の需要減少で航空機の売却やパイロットの人員削減などを進めたが、人件費の高騰や同業との価格競争が続いていた。2024年4〜6月期決算では11四半期連続の最終赤字を計上した。

スピリットの経営再建を巡っては、LCCのフロンティア航空が22年2月に買収する契約を結んだが、同業のジェットブルー航空が買収提案したため、破談となった。

その後、スピリットはジェットブルーとの合併協議を続けていたが、こちらも3月に破談。10月には再びフロンティアとの合併協議を再開した。フロンティアとの合意はスピリットの破産手続きを通じた債務再編が前提となっていた。

コロナ禍以降では、フィリピン航空やタイ国際航空、英ヴァージン航空など世界で複数の航空会社が破産法を申請し経営再建の手続きを進めたが、米国内の航空会社の破産申請は初めてとなる。

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