【NQNニューヨーク=戸部実華】1日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反発し、前日比87ドル37セント高の3万7903ドル29セント(速報値)で終えた。ダウ平均は前日に今年最大の下げ幅を記録した後で、主力株の一部に自律反発を見込んだ買いが支えとなった。午後に米連邦公開市場委員会(FOMC)会合後のパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の記者会見が始まると、上げ幅を広げる場面があった。

FRBは1日まで開いたFOMCで市場の予想通り、6会合連続で政策金利を据え置いた。量的引き締め(QT)の減速方針も決めた。パウエル議長は記者会見でインフレが持続的に2%に向かうと確信するまでに「想定よりも時間がかかりそうだ」との見方を示した。

一方、「次の政策金利の変更が利上げになる可能性は低い」と述べた。インフレ高止まりを背景に利上げのリスクを意識する市場関係者もいたため、安堵感からの買いが広がった。ダウ平均の上げ幅は一時500ドルを超えた。

1日午前に発表された3月の米雇用動態調査(JOLTS)では求人件数が前月比で減少し、2021年2月以来の低水準となった。賃金インフレが高まるとの懸念が和らぎ、株買いにつながった。米長期金利は一時4.5%台後半と前日終値(4.68%)を下回って推移し、株式の相対的な割高感が和らいだことも株買いを支えた。

取引終了にかけてダウ平均は急速に伸び悩んだ。4月の米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景況感指数は49.2と好不況の境目とされる50を下回り、市場予想にも届かなかった。一方、仕入れなどで負担する支払価格の指数は5.1ポイント上昇し、「スタグフレーション(景気停滞とインフレの併存)への懸念を招く」(ジョーンズ・トレーディングのマイケル・オルーク氏)との受け止めもあった。

ダウ平均の構成銘柄ではないが、アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)が大幅安となった。前日夕に2024年1〜3月期決算と併せて発表した4〜6月期の売上高見通しが慎重との見方が広がった。人工知能(AI)関連で期待が高かったサーバーなど電子機器製造のスーパー・マイクロ・コンピューターは急落した。前日発表の四半期決算で売上高が市場予想に届かなかった。エヌビディアなど他の半導体株にも売りが及び、投資家心理の重荷となった。

個別銘柄ではアマゾン・ドット・コムの上昇が目立った。前日夕に発表した2024年1〜3月期決算で売上高が市場予想を上回り、利益率の高いクラウドサービスが好調だった。ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)やボーイング、マイクロソフトも買われた。半面、ナイキとシェブロンは売られた。

ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は続落し、前日比52.341ポイント安の1万5605.481(速報値)で終えた。

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