アメリカのトランプ次期大統領は13日、南部フロリダ州選出の共和党の下院議員で自身を強く支持するマット・ゲーツ氏を司法長官に起用すると発表しました。
これについて、トランプ氏は声明で「ゲーツ氏は政府の武器化を終わらせ、司法省の信頼と自信を回復させる」としています。
トランプ氏は、2021年の支持者らによる議会乱入事件への関与や、自身の退任後の機密文書の取り扱いをめぐる事件について捜査した司法省を強く批判していて、有力紙ニューヨーク・タイムズは、今回の起用について「挑発的な動きで、司法当局に報復するためのものだ」と伝えています。
ゲーツ氏は起用の発表を受け、13日、下院議員を辞職しました。
ただ、ゲーツ氏は去年、同じ共和党の下院議長を解任に追い込んだこともあり、党内からもゲーツ氏の起用に否定的な声が上がっていて、議会上院での人事の承認は難航するという見方が出ています。
マット・ゲーツ氏とは
マット・ゲーツ氏は、南部フロリダ州出身で弁護士として活動後、2017年から地元選出の共和党の下院議員を務めています。
議会では保守強硬派のグループ、「フリーダム・コーカス=自由議員連盟」に所属していて、党内でも特に強硬な保守政策を訴え、多額の予算を投じるウクライナへの支援の打ち切りなどを主張しています。
また、トランプ氏を強く支持していて、トランプ氏への捜査をめぐり司法省に批判的な立場です。
一方、ゲーツ氏は、以前、未成年の女性に金銭を支払って性的な関係を持ったなどの疑いで司法省の捜査を受けました。
ゲーツ氏は疑いを否定し、捜査も終了していますが、現在も議会下院の倫理委員会での調査が続いています。
政策担当 次席補佐官にスティーブン・ミラー氏起用へ
トランプ次期大統領は、13日、前のトランプ政権で上級顧問を務め、トランプ氏のスピーチライターでもあったスティーブン・ミラー氏を政策担当の次席補佐官として起用すると発表しました。
ミラー氏は前のトランプ政権でメキシコとの国境の壁の建設や、厳しい入国制限措置を主導するなど、不法移民に対する強硬な姿勢で知られていて、トランプ氏が不法移民対策として掲げる「アメリカ史上最大の強制送還作戦」を実行するための起用だとみられています。
国家情報長官にトゥルシー・ギャバード氏起用へ
トランプ次期大統領は、13日、国家情報長官にかつて民主党員だった、トゥルシー・ギャバード元下院議員を起用すると発表しました。
ギャバード氏は以前は民主党の下院議員で2020年の大統領選挙の民主党の候補者選びにも立候補していました。
2016年の大統領選挙に勝利したトランプ氏が政権のメンバーを検討している際に面会した数少ない民主党員で、その際にトランプ氏との距離を縮めたと報じられています。
下院議員の任期を終えると、保守的な立場をとるようになり、2022年に民主党を離党しました。
今回の大統領選挙ではトランプ氏の選挙集会で演説したり、大統領候補者のテレビ討論会を前にトランプ氏にアドバイスをしたりして支援し、先月には共和党入りしたことを表明していました。
トランプ氏は声明で「その輝かしいキャリアが体現している恐れ知らずの精神を、わが国の情報機関コミュニティーで発揮し憲法上の権利を擁護し、力による平和を確保してくれるだろう」と期待を示しています。
議会乱入事件など担当 特別検察官が辞任の考え 米メディア
アメリカの有力紙、ニューヨーク・タイムズなど複数のメディアは13日、トランプ氏が起訴された事件を担当してきたジャック・スミス特別検察官がトランプ氏の勝利を受けて、解任される前に、近くみずから辞任する考えだと報じました。
トランプ氏は大統領選挙前の先月、出演したラジオ番組でスミス特別検察官について自身が再び大統領に就任すれば「2秒以内にクビにする」と発言していました。
スミス特別検察官は、トランプ氏が起訴された4つの刑事事件のうち、2021年1月の連邦議会乱入をめぐって国家を欺こうとした罪などに問われている事件と、最高機密を含む文書を不正に自宅で保管していたとされる事件を担当してきましたが、トランプ氏の勝利を受けて、裁判所に対し、手続きを一時停止するよう求めています。
アメリカメディアは、「大統領を在任中に訴追しない」という従来からの司法省の方針に沿ってスミス特別検察官がトランプ氏の起訴を取り下げる一方で、事件についての最終的な報告書を現政権の司法長官に提出する意向だと伝えています。
このニュースを放送した際、今回の起用は挑発的な動きだなどと伝えたのはワシントン・ポストとしていましたが、正しくはニューヨーク・タイムズでした。
失礼しました。
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