【ニューヨーク=吉田圭織】米製薬大手ファイザーが1日発表した2024年1〜3月期決算は最終利益が前年同期と比べて44%減り31億1500万ドル(約4900億円)となった。引き続き、新型コロナウイルス関連製品の売上高が低下し減益となった。コスト削減策が順調に進んでいると説明し、1株利益(EPS)の通期見通しは上方修正した。
売上高は前年同期と比べて20%減り、148億7900万ドルだった。アナリスト予想(140億100万ドル)は上回った。コロナワクチンの売り上げが88%減と大きく減少した。コロナ向け飲み薬「パクスロビド(日本での製品名パキロビッドパック)」も50%減と振るわなかった。
23年10〜12月期に米政府からコロナ治療薬の返品があったため、35億ドル分の売上高を取り消したが、今回、想定よりも返品が少なかったため7億7100万ドルを再計上した。
コロナ関連製品を除いた売上高は11%増だった。23年12月に買収を完了したがん治療薬の米シージェンが約7億ドルの売上高の増加に寄与したほか、心筋症の治療薬「ビンダケル」や米ブリストルマイヤーズスクイブと共同販売する血液凝固を防ぐ薬「エリキュース」が好調だった。
24年通期の1株利益は2.15〜2.35ドルと従来予想の2.05〜2.25ドルから引き上げた。24年末までに40億ドルのコストを削減する対策が順調に進んでいると理由を説明した。
通期売上高は前期と比べ「横ばいから5%増」の585億〜615億ドルになるとの見通しを据え置いた。コロナ関連の売上高ではワクチンが50億ドル、治療薬は30億ドルを見込む。
ファイザーのデービッド・デントン最高財務責任者(CFO)は1日に開いた投資家向け説明会で「新型コロナ関連の売り上げ低下が業績に悪影響を及ぼすものの、半面、コロナ関連製品は売上高やキャッシュフローに当面は寄与し続ける」と話した。
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