ロシアと北朝鮮が世界の危機をあおっている。北朝鮮は大陸間弾道ミサイル(ICBM)の試験発射を強行し、ウクライナ侵略を続けるロシアに多数の兵士を派遣したとみられる。ロ朝が11月5日投票の米大統領選の前後にさらなる暴挙に訴える恐れがあり、日米韓をはじめ国際社会は警戒を高め抑止への圧力を強めてもらいたい。
北朝鮮は10月31日、少なくとも1発のICBMを発射した。北海道奥尻島の西方に位置する日本の排他的経済水域(EEZ)外に落下した。高い角度で発射するロフテッド軌道を用い、飛翔(ひしょう)時間は過去最長で、高度も同じく最高だった。
北朝鮮が今回発射したICBMは新型か改良型とみられる。米国全土を射程に入れ、大統領選を控えた米国を揺さぶる狙いがあるのだろう。
北朝鮮は6月にロシアと相互の軍事支援を盛り込んだ包括的戦略パートナーシップ条約を結んだ。ロシアとの「軍事同盟」を背景に、7年以上途絶えている核実験を再び実施する可能性が指摘される。ICBMの試射も核実験も国連安全保障理事会決議への明白な違反であり、断じて許されない。
東アジアで軍事挑発を強める北朝鮮はすでに、ロシアに1万人規模の兵士を派遣しているとみられ、欧州でも安全保障を一段と危うくしている。
国際的な孤立と経済悪化に苦しむ北朝鮮と、侵略の長期化で兵力の不足が深刻なロシアが連携を強めた。北朝鮮兵が実際に戦闘に参加すれば、ロ朝は「共同交戦国」となり、米欧による制裁強化など重大な結果を招くだろう。
ロシアのプーチン政権は北朝鮮からの支援を得てウクライナ軍を大きく後退させ、自分たちの優勢を誇示しようとしている。米大統領選で即時停戦を訴える共和党のトランプ前大統領を優位にする思惑があり、看過できない。
ロイター通信によると、米国家情報長官室(ODNI)は米大統領選後にロシアなどがサイバー攻撃に加え、抗議デモや暴力をあおる可能性を指摘した。米国は内外への悪影響を避けるために、大統領選後の混乱を防いでほしい。
日米韓や欧州などの友好国は緊密に連携し、ロ朝への警戒を万全にすべきだ。北朝鮮の後ろ盾でロ朝の急接近を好ましく思っていない中国に影響力を行使するよう働きかけを強める必要もある。
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