サンチェス首相の続投記者会見中継に大きな注目が集まった(29日、スペイン北東部エルマスノウ)=ロイター

【パリ=北松円香】妻の汚職告発を巡って進退を検討するとしていたスペインのサンチェス首相が29日、続投を表明した。サンチェス氏は汚職疑惑を否定しており、仏AFP通信によるとこの日の記者会見では「偽情報による政治的議論の支配」を避けるべきだと呼びかけた。

今回の騒動のきっかけは極右と関係があるとされる団体「マノス・リンピアス」による告発だ。サンチェス氏の妻のベゴニャ・ゴメスさんが首相の妻という立場を利用して不正を働いているとした。

告発を受けて24日に裁判所が予備調査の開始を決めると、サンチェス氏はX(旧ツイッター)で国民に宛てた手紙を発表した。辞任を検討ししばらく公務を控えると明らかにした。その後は沈黙を守っていた。

マドリードでは週末にかけて与党で左派の社会労働党(PSOE)を支持する市民がサンチェス氏続投を求める大規模なデモを実施した。著名映画監督のペドロ・アルモドバル氏もサンチェス氏支持を表明するなど、左派層は告発への反発を強めた。

サンチェス氏が率いるPSOEは昨年夏の総選挙で、主要野党で中道右派の国民党(PP)に第1党の座を明け渡した。カタルーニャ独立派の支持を得て政権を維持したものの、少数与党で議会運営は不安定だ。

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