【ニューヨーク=吉田圭織】米東部ニューヨーク市マンハッタンの目抜き通り「5番街」が生まれ変わる――。ニューヨーク市は18日までに、常時、観光客であふれる大通りの歩道を5割拡幅する計画を発表した。ピークのクリスマス前後には1時間に2万人超が通行しており、歩行者の渋滞を抑え、さらなる観光客増につなげる狙いだ。
ニューヨーク市が公表した計画では、現在は片側で23フィート(約7メートル)の歩道をそれぞれ46%拡張する。横断歩道も短くなるため、安全性も高まるとしている。一方通行で5車線ある車道は3車線に減る。2028年に工事を始める見通しという。
計画の発表と同時にデザインのイメージ図も公表した。歩道に樹木を植え、全体として歩行者を優先する設計となる。5番街は約200年の歴史があるが、この規模の改修は初めてという。
米紙ニューヨーク・タイムズによれば、拡幅工事には約3億5000万ドル(約520億円)の資金が必要になる。訪問客のさらなる増加による周辺店舗からの売上税の増収や、地価上昇による固定資産税の増加が見込め、5年以内に資金を回収できるとしている。
5番街は高級店が並び、オードリー・ヘプバーン主演の映画『ティファニーで朝食を』など数々の映画やテレビ番組のロケ地であることでも知られる。ニューヨーク市マンハッタンの訪問客がこぞって訪れる場所で、年平均で1時間あたり5500人が通行するという。
クリスマス休暇前後の時期は有名店のイルミネーションや巨大なクリスマスツリーなどを見ようとする人で大混雑することが多く、1時間に平均2万3000人が通るとしている。現在の歩道では、この歩行者の数に対応できなくなっているとの指摘が多かった。
一方で、今回の拡幅計画はニューヨーク市内で問題となっている車の渋滞をさらに悪化させるとの懸念の声も早速あがっている。車道が3車線になり、2車線あった市営バス専用の車線も1車線に減る。歩行者の利便性を高める一方で、車の交通渋滞の抑制策も必要になってきそうだ。
今回の計画を巡っては、市民にデザインなどを紹介する「オープンハウス」をニューヨーク市や改修計画に関わる団体が10月29日に開く見通しとなっている。
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