【ジュネーブ=共同】国連の女性差別撤廃委員会は17日、日本の女性政策を審査する会合をスイス・ジュネーブの国連欧州本部で開いた。対面審査は8年ぶり。委員会はこれまで、夫婦同姓を義務付けた民法を改正し、選択的夫婦別姓の導入を勧告している。日本政府の担当者はこの日、「国民の意見や、国会の議論を注視しながら、司法の判断も踏まえ、さらなる検討を進める」と述べるにとどめ、推進方針を示さなかった。
委員会は各国の女性差別撤廃条約の実施状況を監視するのが役割。14日と16日には非政府組織(NGO)へのヒアリングも行った。17日の政府との議論を踏まえ、後日、最終見解を公表。条約の履行状況を不十分と判断すれば改善を勧告する。
条約は16条で姓や職業の選択などを含め、夫と妻に同一の権利の保障を求めている。委員会はこれまで3回にわたり、日本政府に対し民法見直しを勧告。前回は最も重要な「フォローアップ項目」の対象となっていた。
内閣府の岡田恵子男女共同参画局長は「旧姓の通称使用拡大に取り組んできた」と話した。
前回の最終見解は、人権侵害を受けた個人らが委員会に直接申し立てできる「個人通報制度」を盛り込んだ「選択議定書」についても、批准の検討を要請。この日、委員から検討状況を問われた外務省担当者は「タイムラインを答えるのは困難。早期締結を真剣に検討する」と答えた。
また、委員会の委員は、女性の国会議員が衆議院、参議院のいずれも3割に満たないことなどを指摘し「意思決定における女性の参画が足りない」と批判した。
2016年の最終見解はこのほか、男女の賃金格差の解消、公職者が「慰安婦」問題を過小評価する発言をやめることなども求めていた。
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