イスラエル軍はハマスの再編成を防ぐためだとして、ガザ地区北部のジャバリアで今月6日から再び地上作戦を始めていて、10日にはハマスの戦闘員50人以上を殺害したと発表しました。

しかしパレスチナのメディアは、ジャバリアの住宅4棟がイスラエル軍の空爆を受け、子どもを含む22人が死亡したほか、14人の行方がわからなくなっていると伝えています。

イスラエル軍は住民に南に退避するよう通告していますが、中東の衛星テレビ局アルジャジーラは、住民の多くは安全が確保できないとして現地にとどまっていると報じ、取材していた自局のカメラマンも首を撃たれて意識不明の重体になっているとしています。

ガザ地区の保健当局はこれまでに4万2175人が死亡したとしていて、犠牲者のさらなる増加が懸念されているほか、14日から部分的に戦闘を一時休止して行われる予定の、子どもを対象にしたポリオワクチン接種の実施も危ぶまれています。

さらにWFP=世界食糧計画は、激しい戦闘のためガザ地区北部に今月1日以降、食料が運び込まれておらず深刻な影響が出ているとして、攻撃の停止を訴えています。

イスラエルへの非難は強まっていて中米のニカラグアは11日、ガザ地区での人道危機が深まっているとしてイスラエルとの国交を断絶することを決めています。

唯一稼働の病院 医師が集中治療室の映像公開

ガザ地区北部で唯一稼働しているカマル・アドワン病院の医師は、院内の現状を知ってほしいと、携帯電話で集中治療室を撮影した映像を公開しました。

映像では、保育器に入れられた赤ちゃんや、頭や腕などにけがをした子どもたちが人工呼吸器をつけてベッドに寝かされている様子が写っています。

ベッド6台の部屋で8人が手当てを受けていて、その多くがイスラエル軍の最近の攻撃で大けがをし、家族全員を失った子どももいるということです。

医師は撮影しながら「病院の業務が止まれば、この子たちの命が終わってしまう。特別な治療を必要とする子どもたちをこれほど多く受け入れられる場所はガザ地区にはもうない」と説明しています。

その上で「イスラエル軍が私たちをこの病院から退避させようとするのを阻止してほしい。そして病院が人道的な活動を続けられるようイスラエル軍に燃料の搬入を認めさせてほしい」と国際社会に支援を訴えています。

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