ベトナムの権力序列トップ4の1人、ブオン・ディン・フエ国会議長(67)が26日、辞任する意向を示し、共産党中央委員会の会議で承認された。国営メディアは「党の規則に違反した」と報じている。先月には国家元首である国家主席も同じ理由で辞任しており、一党支配体制のベトナムで異例の事態が続いている。
- ベトナム国家主席が辞任 「規則に違反」、異例の2年連続交代
ベトナムは共産党書記長、国家主席、首相、国会議長の「4本柱」の指導体制を敷いている。国会議長は序列4位の権力を持つ。フエ氏は財政相や副首相を歴任し、2021~26年の任期で国会議長を務めていた。
国営ベトナム通信は辞任の理由について、「党員らに模範を示す責任に関する規定」などに違反したとし、「党や国家の評判に影響を与えた」と報じた。
違反の具体的な内容は公表していないが、公安省は22日、フエ氏の補佐を職権乱用の疑いで逮捕したと発表。首都ハノイを拠点とする大手インフラ建設関連会社が関与した贈収賄事件の捜査の一環だと説明していた。
11年から最高権力者の座に就くグエン・フー・チョン共産党書記長(80)は「燃える炉」と名付けた反汚職運動を展開し、党幹部らの不正を厳しく処分してきた。
23年には、新型コロナウイルス対策に絡む汚職事件の発覚を受け、当時の国家主席を引責辞任させた。その後任に就いたボー・バン・トゥオン前国家主席(53)も、約1年で辞任に追い込まれた。
相次ぐ党トップ級の退任劇。反汚職運動を主導するチョン書記長への権力集中が一層進んでいる。(バンコク=大部俊哉)
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