ロシアのプーチン大統領は25日、核兵器を使用するための条件を示した「核抑止力の国家政策指針」を改定すると述べた。核兵器を保有していない国からの攻撃であっても核保有国の支援があれば共同攻撃とみなすとも言及し、核兵器を使用する可能性を改めて示唆した。
ウクライナがロシア領内への攻撃を強める中、武器を供給する欧米諸国への威嚇を強める狙いとみられる。
ロシア大統領府によると、プーチン氏は同日の安全保障会議で「現在の軍事・政治的状況は大きく変化している」と現状に指針を適合させる必要があると述べた。
今後改定する指針については「非核兵器保有国による侵略であっても、核保有国の参加や支援があればロシアへの共同攻撃とみなす」と見直しに触れ、核兵器による反撃の可能性を示唆した。
ロシアの同盟国であるベラルーシに侵略行為があった場合にも核兵器を使用する権利を留保すると述べた。ロシアは2023年、ベラルーシに戦術核を配備している。
指針の改定は、ウクライナが米欧から供与された長距離ミサイルを含む武器の使用制限の全面撤廃を求めるなどロシア領内への攻撃を強めていることが背景にある。英国などは制限撤廃に前向きで、ロシアは核兵器使用の条件をより明確に示すことで西側諸国への「核の脅し」を一段と強める狙いとみられる。
ウクライナは8月にロシア西部クルスク州に越境侵攻し同州の一部を制圧した。ロシア軍は掃討作戦を展開しているものの、ウクライナ軍の排除には時間がかかっている。
プーチン氏はこれまでも核使用を示唆して欧米を威嚇してきた。同氏は9月12日、ロシアメディアに、ウクライナへの供与武器の使用制限が撤廃されれば「米国や欧州諸国がウクライナの戦争に直接参加することにほかならない」と述べた。
ロシアは軍事ドクトリンや20年に公表した「核抑止力の国家政策指針」で核使用の条件を定めている。核使用の要件として、通常兵器の使用で国家の存在そのものが脅かされる場合や、ロシアの領土に核兵器が使用された場合などを定めている。
プーチン氏は今年6月に欧米による核戦力の開発など脅威が高まっているとし、ロシアの核使用条件を定めた指針の見直しを検討していると表明した。リャプコフ外務次官も9月に同指針の改定について「作業は進んでいる」と述べていた。
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