レバノン情勢受けて安保理緊急会合開催へ

イスラエル軍がレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラに対して大規模な空爆を行い、大勢の死傷者が出ている事態を受けて国連の安全保障理事会の緊急会合が25日に開催されることになりました。

この緊急会合はレバノンの旧宗主国でいまも政治や経済に影響力を持つフランスが開催を要請していたものです。

安保理で議長国を務めるスロベニアによりますと、緊急会合は現地時間の25日の午後6時から(日本時間の26日午前7時から)始まる予定で、冒頭、国連のグテーレス事務総長が状況を説明します。

イスラエル軍がレバノンの各地で空爆を続け、ヒズボラもロケット弾で応酬するなか、事態のエスカレートを食い止めるため、安保理が一致できるかが注目されます。

国連の関係機関 レバノンでの子どもへの影響や医療体制に懸念

スイス・ジュネーブにある国連のヨーロッパ本部では、24日、国連の関係機関による記者会見が行われました。

この中で、ユニセフ=国連児童基金のレバノンの担当者は、子どもたちの心身への影響に懸念を示し、「この紛争がこれ以上エスカレートすれば、レバノンのすべての子どもたちにとって、破滅的なことになるだろう」と述べ、一刻も早く事態を鎮静化させ、すべての関係者が国際的な人道法のもとでの義務を順守するよう求めました。

また、WHO=世界保健機関の担当者はレバノンで今月17日に起きた「ポケットベル」タイプの通信機器の連続爆発について、けがの多くは、手に持った通信機器を見た際の爆発によるもので目や顔、それに手に集中していると指摘しました。そして、「これほどまでに多くの手や顔、神経の損傷を見たことがなく、対処するためには、さらに多くの専門医が必要だ。まだ多くの人々が病院で手術を受けるのを待っている状況だ」と説明しました。

イスラエル国連大使 国連で会見 空爆を正当化

イスラエルのダノン国連大使は24日、国連で記者会見し「ヒズボラがイスラエルの人口密集地に大規模攻撃を仕掛ける兆候があったため、イスラエル軍はレバノン南部のヒズボラのミサイル貯蔵庫や発射施設に対して、精密な攻撃を行った」と述べ、空爆を正当化しました。

また、子どもや女性が空爆に巻き込まれていることについては、レバノン南部の民家に隠されたヒズボラのミサイルだとする写真を見せながら、ヒズボラはレバノンの人々の命を気にしていないと主張しました。

そのうえで作戦の最終目的について聞かれると「ヒズボラがわれわれとの国境からいなくなれば作戦は終わる。それが早く実現することを希望する」と述べ、具体的にはヒズボラがレバノンのリタニ川より北に撤退するまでは軍事作戦を継続すると主張しました。

レバノン 550人以上が死亡 混乱が広がる

イスラエル軍は24日もレバノン南部でイスラム組織ハマスに連帯するヒズボラの武器庫などへの空爆を続けているほか、首都ベイルートでも空爆を行い、ヒズボラのロケット部隊の司令官を殺害したと発表しました。

レバノンの保健省によりますとこの攻撃で6人が死亡したということです。
23日以降のイスラエル軍の攻撃による死者は子ども50人、女性94人を含むあわせて558人に上ったとしていて、犠牲者が増え続けています。

また、攻撃を逃れようと南部からは多くの市民がベイルートなどへの避難を余儀なくされ、レバノン政府が学校を避難所として開放するなど対応に追われていて、混乱が広がっています。

一方、ヒズボラも24日未明からイスラエル北部にある軍用空港などへの攻撃を行っていて、イスラエルメディアは、これまでに220発のロケット弾が発射されたとしています。

イスラエルのネタニヤフ首相は24日、「引き続きヒズボラへの攻撃を続ける」などと述べ、強硬姿勢を崩しておらず、双方の間で攻撃の応酬がさらに激化することが懸念されます。

レバノン政府 公立学校を避難所として開放など対応追われる

23日から続いているイスラエル軍によるレバノン南部への大規模な空爆を受けて多くの市民が避難を余儀なくされていて、レバノン政府は公立学校を避難所として開放するなどして、対応に追われています。

このうち、首都ベイルート郊外の専門学校には、24日、イスラエル軍の攻撃から逃れてきた家族連れなど、およそ1000人が避難してきていました。

南部からベイルートなどに向かう道路は避難する市民の車で大混雑していて、通常2時間程度の道のりが16時間以上かかった人もいたということです。

また、避難してきた多くの市民は必要最低限の荷物しか持ってきておらず、薬が必要な高齢者や、子どものミルクやおむつなどを必要としている家族も多く、支援の必要性を訴えていました。

避難してきた男性は「きのうは本当に大変で、避難する場所もなく道路で寝た。戦闘がいつ終わるのか不安に感じる。一刻も早く終わってほしい」と話していました。

また、別の男性は「民間人に対しても空爆が行われていた。避難の最中、目の前の道路にもミサイル3発が着弾した。私も怖かったし、孫たちも怖がっていた」と話していました。

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