水産業が盛んなノルウェーで水揚げされるサバは日本が最大の輸出国で、去年、直接、輸出された量はおよそ6万3000トンと全体の漁獲量のおよそ半分を占めています。

毎年、脂がのったこの時期に限って水揚げされてからおよそ60時間ほどで日本に空輸されていて、けさはやくおよそ1500キロの天然のサバを積んだ、今シーズン初めての航空便が羽田空港に到着しました。

到着したサバはさっそく、都内で開かれたイベントで提供されました。

ことしはサバなどの魚介類に寄生する「アニサキス」の処理に日本企業が開発した、最新の冷凍技術を導入することで加熱せずに食べられるようになり、訪れた人たちはすしとして提供されたサバの味に舌鼓を打っていました。

江戸川区から息子と訪れた50代の母親は「おいしいです。脂がのっていてとても新鮮でとろっとしていました」と話していました。

ノルウェー大使館のヨハン・クアルハイム水産参事官は「日本はノルウェーにとって最も重要な市場だ。ことしのサバは脂肪分も多く非常においしいのでぜひ味わってほしい」と話していました。

空輸で輸入するサバは、20日から1か月間、あわせておよそ20トン届く予定で、全国各地のスーパーなどでも販売されます。

ノルウェー産のサバ 日本が最大の輸出先

ノルウェー産のサバは全体の漁獲量のうち、およそ半分が日本に輸出されていてノルウェーにとって日本が最大の輸出先です。

ノルウェーのサバの漁獲は例年8月中旬ごろから11月ごろまで行われ、50年ほど前から日本への輸出の実績があるほか、3年前から旬を迎えた脂ののったサバを生の状態で輸出する取り組みも行っています。

こうした中、近年ノルウェー産のサバの価格は上昇傾向にあります。

要因の一つに競争の激化があります。

サバの日本への輸入に携わる商社の関係者によると、近年は世界各国でノルウェー産のサバの需要が伸び特にフランスやドイツなどのヨーロッパのほかトルコやエジプトなど中東を中心に買い付け競争が激しくなっています。

また輸送コストの上昇も価格に影響を与えています。

これまで、ノルウェー産のサバを日本に海上輸送する際には、紅海周辺を通っていましたがフーシ派が攻撃を繰り返しているためスエズ運河などの航行を取りやめアフリカの喜望峰を回るルートに変更しているということです。

このため、輸送には、これまでより2週間から1か月ほど多くの時間を要しているとしています。

国内のサバの漁獲量 減少傾向に

農林水産省によりますと、去年の国内のサバの「海面漁業」の漁獲量は26万1100トンと前の年と比べて5万8600トン、率にして18.3%減り、ここ数年減少傾向にあります。

過去10年で最も多かった、平成30年の54万5000トンと比べると半分以下にまで減っています。

農林水産省などによりますと、近年は体長や重さなどが不十分なサバの水揚げも確認されるようになり、資源量も減っているとみられるということです。

その要因として気候変動の影響で海の環境が変化し、水温が高くなったり潮の流れが変わったりしたことなどがあると考えられています。

農林水産省は、漁業関係者と資源の変化に対応した適切な漁業経営などについて話し合う検討会を開くなど、対策を進めています。

国内での漁獲量が減る中、ノルウェー大使館や市場関係者によると日本に直接輸出されるノルウェー産のサバは増えていて、缶詰に使うサバを国産からノルウェー産に切り替える会社も出てきているということです。

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