【シリコンバレー=中藤玲】米シリコンバレーに滞在する日本人女性らでつくる団体「JWIBA」が6日、米スタンフォード大学内の会場で女性のキャリアに関する提言などを行うイベントを開いた。女性の海外駐在員や転勤に伴う同行者、現地就職などの実態調査から、日本を含めた国内外での女性の活躍につなげる。
シリコンバレーはエンジニアやベンチャーキャピタル(VC)など男性中心だ。JWIBAは同地で暮らす日本人女性らのコミュニティーとして2022年に発足した。女性駐在員や夫の転勤に伴う同行、現地企業で働く人など延べ1000人以上が参加している。24年8月にはNPO法人となった。
6日のイベントでは、女性活躍における課題や提言を発表した。会場には約300人が集まった。
例えば、日本の企業や組織からシリコンバレーに駐在経験がある42人に調査したところ、女性の7割強は自発的に赴任を希望したが、男性は約6割が上司からの打診で赴任したという。日本企業の海外駐在員は大半が男性だとの別の調査もあり、JWIBAの担当者は「打診が公平になれば女性も増える」と指摘した。
シリコンバレーでキャリアチェンジした60人以上の女性に聞き取ったところ、夫の転勤への同行で渡米して現地企業に就職したり、博士研究員(ポスドク)後にスタートアップに転職したりする事例があった。「身近にロールモデルがいなくても、他のコミュニティーに広げて多様なケースを知ることでヒントが得られる」(JWIBA)と提言した。
米グーグル元幹部でパナソニックホールディングス(HD)の執行役員、松岡陽子氏らによるパネルディスカッションもあった。松岡氏は自身のキャリアチェンジを振り返り、「150社を訪ねて良い点と悪い点をチャートにし、1社を選んだこともある。徹底的に自分の気持ちと向き合うことが重要だ」と助言した。
弁護士で対米外国投資委員会(CFIUS)のワーキンググループメンバーでもあるナンシー山口氏は「米国では女性のパートナー弁護士はわずかしかいない」と、男性優位の業界で露骨に排除された経験などを語った。
その上で、山口氏は「女性同士で支え合いエネルギーを交換できる交流の場や、男女差別などの問題があれば必ず声を上げる問題解決能力(を身につけること)が不可欠。まさに起業家精神だ」と来場者にエールを送った。
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