台湾立法院(国会に相当)の第3勢力、民衆党の柯文哲(コーウェンチョー)主席(党首)が汚職の疑いで捜査を受けている事件で、台北地裁は5日、検察側が求めていた柯氏の勾留を認める決定をした。柯氏は再び身柄を拘束され、地検の取り調べを受ける。

 台湾の中央通信社によると、柯氏は台北市長だった2020年、同市内の商業施設の建物の建設をめぐり、容積率を不正に引き上げる便宜をはかり、賄賂を受け取った疑いがもたれている。

 地裁は関係者の証言などから、柯氏は違法だと知りながら容積率の引き上げに関わり、建設を計画した企業側に200億台湾ドル(約900億円)の不法な利益を与えた疑いがあると判断。勾留を認めたという。

 台北地検は汚職容疑で8月31日に柯氏を逮捕。地裁は今月2日、柯氏の勾留を認めず、柯氏はいったん釈放された。だが、地検の抗告を受けた台湾高裁は4日に地裁の決定を取り消し、地裁は審理をやり直すことになっていた。

 再審理で地検の請求が認められたため、柯氏は最長で4カ月間にわたり勾留される可能性がある。この間の捜査を経て、地検は柯氏の起訴の可否を判断するとみられる。

 柯氏はこれまで、容積率の引き上げを「まったく知らなかった」と容疑を否認。5日に会見した民衆党幹部は「捜査権の乱用だ」と述べ、捜査は民進党政権による柯氏への政治的攻撃だと主張した。(台北=高田正幸)

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