米製造業は「不況」水準が続く=ロイター

【ニューヨーク=佐藤璃子】米サプライマネジメント協会(ISM)が3日発表した8月の米製造業景況感指数は47.2とダウ・ジョーンズまとめの市場予想(47.9)を下回り、好不況の分かれ目となる50も5カ月連続で下回った。新規受注と生産の低迷が重荷となった。

指数の50割れは、米製造業が足元の経営環境に懸念を強めていることを映す。3月には50を超えたが、2022年11月以来、22カ月のうち21カ月間は不況水準となっている。

在庫を示す指数の改善を受けて前月からは0.4ポイント改善した。一方で新規受注は2.8ポイント、生産は1.1ポイント、前月からそれぞれ低下した。ISMで調査を統括するティモシー・フィオレ氏は「金融政策と大統領選の不透明感から、企業は設備投資や在庫投資に消極的になっており、需要が引き続き低迷している」と指摘する。

調査対象の企業からは「人員削減などが始まり、事業活動の鈍化が目立つ。将来の成長に対する楽観的な見方が打ち砕かれた」(化学製品)、「事業が冷え込んでおり、選挙が終わるまで回復は期待できない」(紙製品)など先行き不透明感を懸念する声が多く聞かれた。

PNCファイナンシャル・サービシズ・グループのシニア・エコノミスト、カート・ランキン氏は「米製造業は高金利、住宅市場の低迷、消費者のインフレ疲れという持続的な組み合わせを受けて(成長が)鈍化している」と分析。「新規受注が明らかに停滞しており、新たな製造活動や雇用は少なくとも年内いっぱい、経済活動の足かせとなるだろう」との見方を示した。

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