フロリダ州のトランプ氏の邸宅から機密文書が見つかった=ロイター

【ワシントン=芦塚智子】米共和党のトランプ前大統領が機密文書を不正に持ち出した疑惑を巡り、捜査を指揮したスミス特別検察官は26日、起訴を却下した連邦地裁の判断を覆すよう連邦控訴裁に求めた。訴えが認められても、トランプ氏が返り咲きを狙う11月の大統領選までに裁判が始まる可能性は低い。

連邦地裁のキャノン判事は7月中旬、ガーランド司法長官がスミス氏を特別検察官に任命したことが憲法違反にあたるとして起訴を却下した。政府高官の人事を承認する権限は議会上院にあり、特別検察官はその対象に含まれるとの認識を示した。

スミス氏は連邦控訴裁に提出した文書で「議会は司法長官が法律上の責任を果たすために司法省を組織する広範な権限を与えてきた」と指摘。地裁の判断は、最高裁を含めた過去の判決や司法省の長年の慣行に反すると主張した。

審理を地裁に差し戻すよう求めた。国民にとって重要な案件だとして控訴裁に口頭弁論の実施も要請した。

トランプ氏は2021年1月の大統領退任後も機密文書を不適切に所持・管理した疑いがあった。連邦捜査局(FBI)は22年8月に実施した捜索で南部フロリダ州の邸宅から「最高機密」に分類された文書などを押収した。

ガーランド氏は22年11月にスミス氏を特別検察官に任命。連邦大陪審は23年6月、機密文書を不適切に持ち出した疑いでトランプ氏を起訴した。

スミス氏は21年1月の連邦議会占拠事件を巡るトランプ氏の起訴についても特別検察官を務めた。同事件の審理は、連邦最高裁が7月にトランプ氏の大統領としての免責特権を認めた判断を受けて遅れている。

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