オランダのデータ保護局は26日、配車サービス「ウーバー」の運営会社に対し、2億9千万ユーロ(約470億円)の制裁金を科すと発表した。欧州で運転手として働く人たちの個人情報が、特別な措置を講じることなく、本社のある米国に送られていることを問題視した。

 ウーバーを運営するウーバー・テクノロジーズは、米国に本社を置いている。保護局によると、ウーバーは欧州で働く運転手の免許証や位置情報、身分証明書を米国にあるサーバーで保管していた。こうしたデータの中には、犯罪や病歴なども含まれる場合があったという。

 欧州では、個人情報の流通によって市民の基本的人権が侵されることがないよう、欧州連合(EU)の一般データ保護規制(GDPR)によって、域外へのデータの移転を原則禁止している。例外的に移す場合は、GDPRに基づいてデータ保護を十分に行っていることを証明する認定を受けるなど、特別な措置を講じる必要がある。

 保護局は、ウーバーはこれらの措置を講じず、2年以上にわたって欧州の運転手の個人情報を米国の本社に移していたと指摘。「GDPRが求めるデータの保護レベルを保証しておらず、非常に深刻だ」とし、GDPRに違反していると認定した。

 ウーバーの広報担当者は「この誤った決定と異常な制裁金は完全に不当だ。ウーバーは、GDPRに準拠してデータを移転してきた」とコメントした。決定を不服として、今後、オランダの裁判所に提訴する方針だという。(ブリュッセル=牛尾梓)

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