レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラの最高指導者ナスララ氏は25日、テレビ演説し、この日のイスラエル北部やイスラエルが占領するゴラン高原への攻撃について、「計画通りに」実行できたと主張し、さらに攻撃する可能性にも言及した。ロイター通信が報じた。一方、ヒズボラの拠点を空爆したイスラエルのネタニヤフ首相も再度の攻撃を示唆しており、さらに緊張が高まる懸念がある。

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 ヒズボラは同日、320発を超えるロケット弾や無人機でイスラエルを攻撃したと発表。一方のイスラエル軍は戦闘機約100機でヒズボラの数千基のロケット発射機を破壊。レバノンにある40以上の発射地点を空爆したとしている。

 ナスララ師の「計画通り」実行したとの説明は、攻撃を阻止したとするイスラエル側の主張を否定したかたちだ。同師は「さらなる攻撃を行うかを決定する前に、標的に対する(今回の)攻撃の影響を評価する。結果が十分でなければ、我々は別の機会に対応する権利を持つ」とも述べた。

 ネタニヤフ氏は同日、政府内の会合で、「これで終わりではない」と述べた。ヒズボラによる攻撃の兆候を察知していたとした上で、7月末に起きたイスラエル軍のヒズボラ司令官殺害に触れ「我々はヒズボラに驚くべき打撃を与えている」と主張。ナスララ師とヒズボラを支援するイランの最高指導者ハメネイ師に対し「これが情勢を変える一歩だと知る必要がある」と牽制(けんせい)した。

 一方、ロイター通信は25日、エジプトの首都カイロで続いていたパレスチナ自治区ガザでの停戦をめぐる協議について、停戦の合意には至らなかったとエジプト治安筋の話として報じた。イスラム組織ハマスとイスラエルの双方がいくつかの妥協案に同意しなかったという。(エルサレム=河野光汰)

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