バイデン氏は約50年の政治歴で「多くの間違いもしたが、みなさんのために最善を尽くした」と語った=AP

【シカゴ=芦塚智子】バイデン米大統領は19日、中西部イリノイ州シカゴで開幕した民主党全国大会で演説した。再選出馬を断念したバイデン氏は約50年の政治歴で「多くの間違いもしたが、みなさんのために最善を尽くした」と語り、自身が支持し同党の大統領候補に指名されたハリス副大統領の当選に向けて結集するよう支持者らに訴えた。

バイデン氏は、大会初日の最後に娘のアシュリーさんによる紹介を受けて登壇した。会場の歓声に涙を拭い、支持者から「ありがとう、ジョー!」「ジョーが大好き!」とのコールが上がると再び涙ぐんだ。

バイデン氏は雇用創出や格差是正など政権の4年間の成果を強調し「まだやるべき仕事が残っている」とハリス氏にバトンを渡す考えを表明した。

ハリス氏について「子供たちが尊敬し、世界の指導者たちに敬意を持たれる大統領になる。私たちがみな誇りに思い、米国の未来に足跡を残す歴史的な大統領になる」と期待を示した。

共和党の大統領候補として返り咲きを狙うトランプ前大統領について「彼は就任初日に独裁者になると約束している。そうさせてはならない」と警告し「無党派も、共和党員も、民主党員も、我々は2020年(の大統領選)で民主主義を救った。24年も再び救わねばならない」と訴えた。

「私が上院議員になった時は30歳になっていなかったので若すぎたが、大統領を続けるには年を取り過ぎた」と高齢不安を認め、「大統領の仕事を愛しているが、この国をもっと愛している」と無念さをにじませながら次世代に託す姿勢を示した。

演説の最後にジル夫人とハリス氏夫妻が壇上に現れ、バイデン氏と抱き合った。娘や孫ら家族も顔をそろえた。

バイデン氏は再選を目指していたが6月末の大統領候補討論会で精彩を欠き、7月下旬に候補者指名を辞退して選挙戦から撤退すると表明した。同時に後継候補としてハリス氏の支持を明言した。大統領の職務は25年1月の任期まで続ける。

現職大統領が再選出馬を断念したのは、1968年のジョンソン大統領(民主)以来。同年の民主党全国大会もシカゴで開催され、ハンフリー副大統領が代わりに党候補指名を受けた。ハンフリー氏は11月の大統領選で共和のニクソン氏に敗れた。

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