【ヒューストン=花房良祐】米国の石油サービス大手SLB(旧シュルンベルジェ)がロシア事業を拡大していることが明らかになった。ロシアの石油販売収入はウクライナ紛争の戦費調達につながるとして批判が高まりそうだ。
国際非政府組織(NGO)グローバル・ウィットネスが16日公表した。2023年12月にSLBはロシアの石油・天然ガスの政府系研究機関と1340万ルーブル(約2200万円)の契約を交わしたという。1年間にわたり石油・ガス埋蔵量の調査を支援する。
SLBグループは22年のロシアのウクライナ侵略以降も石油開発などに関する特許をロシアで43件取得した。
英紙フィナンシャル・タイムズによると、SLBは23年12月以降、運転手や地質、化学の専門家ら1000人以上の求人広告を出したほか、同社のロシア子会社が24年7月に2件の商標登録をしている。
SLBは23年7月、ロシアへの製品・技術の輸出を停止すると表明した。もっとも、23年8〜12月には電線や化学品など1750万ドル分の設備をロシアに運び込んでいた。このうち220万ドル分はSLBグループが製造したという。
1300万ドル分の輸入品は中国、300万ドル分はインドからだった。両国はウクライナ紛争で中立の立場を保つ。SLBはロシアの石油会社に掘削用設備などを納入しているとみられる。
ライバルの米ベーカー・ヒューズと米ハリバートンはすでにロシア事業を現地企業に売却している。ウクライナ政府などはSLBのロシア事業継続がウクライナ侵略の戦費調達に貢献していると批判している。
もっとも、欧米政府は石油サービスを巡り包括的な経済制裁に二の足を踏んでいる。ロシアの石油生産・輸出が滞れば原油相場が上昇する懸念があるためだ。米国務省は5月、SLBが対ロシア制裁に違反していないとの見解を示した。
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