タイで憲法裁判所から解党を命じられた最大野党・前進党は9日、所属議員らが集まり、新党の立ち上げを発表した。解党に伴い10年間の政治活動禁止を命じられた旧党の幹部6人を除く下院議員143人が合流。第1党の勢力を維持する見通しだ。

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 新党の名称は「国民党」。党幹部は「国民による国民のための政党として、国民主権のタイをつくりたい」と説明した。

 会見したナタポン新党首は「次の総選挙で勝利し、変革のための単独政権をつくる」と宣言。解党命令には支持者から怒りや失望の声が渦巻くが、新党執行部は路上での抗議活動ではなく、あくまで選挙の勝利によって改革を目指す意向だ。

 前進党は軍や独占資本などの支配層を批判して、昨年の総選挙で第1党となり、直近の世論調査でも、政党支持率が49%とトップを維持していた。だが、王室に対する不敬罪の改正を公約に掲げたことが憲法違反に当たると判断され、7日に解党命令を受けていた。

 前進党をめぐっては、今回の解党命令とは別に、所属議員44人が2021年に国会提出された不敬罪の改正案に署名していたことを問題視し、責任を追及する動きがある。有罪となれば、政界追放の対象者がさらに増え、新党にも重大な影響が及ぶ可能性がある。(バンコク=武石英史郎)

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