【フランクフルト=林英樹】英石油大手シェルが1日発表した2024年4〜6月期決算は、純利益が前年同期と比べ16%増の36億5000万ドル(約5400億円)だった。エネルギー価格の安定に加え、製油所の売却など構造改革、コスト削減が寄与した。ワエル・サワン最高経営責任者(CEO)は英フィナンシャル・タイムズ(FT)のインタビューで「欧州のエネルギー危機は終わった」と語った。
調整後営業利益が前年同期比24%増の62億9300万ドルだった。市場予想(約60億ドル)を上回った。売上高はほぼ同水準の744億6300万ドルだった。
サワン氏はロシアのウクライナ全面侵攻で上昇した原油、天然ガス、電力価格が下落している点に触れ「(4〜6月期は)最近のどの四半期よりも安定しており、正常な利益水準に戻りつつある」と評した。
エネルギー価格の安定に加え、製油所の売却や電力小売市場からの撤退など、一連の構造改革が増益に寄与した。1〜6月期に7億ドル分のコストを削減し、22年からの累計で17億ドルに達した。
一方、電力価格の下落は再生可能エネルギー事業に打撃となった。採算見通しの悪化からオランダ・ロッテルダムで計画するバイオ燃料工場の建設を一時中断。シンガポールの製油所と化学工場の売却などと合わせ、15億ドルの減損を計上した。
再エネ事業の営業損益は1億8700万ドルの赤字(前年同期は2億3800万ドルの黒字)だった。サワン氏は「多額の投資段階にあり、赤字は驚きではない」と述べた。
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