イスラエル軍は1日、先月13日に行ったガザ地区南部への空爆でハマスの軍事部門であるカッサム旅団のデイフ司令官を殺害したことを確認したと発表しました。

デイフ司令官についてイスラエルは、去年10月7日のハマスによる奇襲攻撃の計画や実行で極めて重要な役割を果たしたと指摘していて、ガラント国防相は1日、「ハマスの壊滅、そして戦争の目的達成の大きな節目となった」とSNSに投稿し、作戦の成果を強調しました。

一方、ハマスのハニーヤ最高幹部が訪問中に殺害されたイランの首都テヘランでは、1日、追悼の式典が行われ、イランの最高指導者ハメネイ師がペゼシュキアン大統領とともに祈りをささげました。

また、会場周辺では喪に服して黒い服に身を包んだ人たちが「イスラエルに死を」などと叫びながら行進し、イスラエルへの報復を求めていました。

ハニーヤ最高幹部の殺害について、ハマスの幹部は先月31日、テヘランで会見し、関係者による詳細な調査を待っているとしたうえで、「ミサイルがハニーヤ最高幹部のいた部屋に撃ち込まれ、直撃した」などと明らかにしました。

また、イスラエルが地域全体を巻き込む戦争を求めているなどと厳しく非難したうえで、「イスラエルによる犯罪を見過ごすことはない」と述べ、徹底抗戦を続ける構えを強調しました。

イスラエル政府はハニーヤ最高幹部の殺害について直接言及していませんが、ネタニヤフ首相は先月31日、声明で「われわれはどのようなシナリオにも準備は出来ている」と述べ、イランやイランが支援するハマスを含むあらゆる勢力との戦いを続ける考えを強調していて緊張の度合いが増しています。

ハマス幹部 “ミサイルが最高幹部のいた部屋に直撃”

イランを訪問中だったイスラム組織ハマスのハニーヤ最高幹部が殺害されたことを受けて、ハマスの幹部は先月31日、イランの首都テヘランで会見しました。

この中でハマスの幹部は関係者による詳細な調査を待っているとしたうえで、「ミサイルがハニーヤ最高幹部のいた部屋に撃ち込まれ、直撃した。窓ガラスやドア、壁の一部が破壊された」などと述べ、ハニーヤ最高幹部がいた部屋に向けてピンポイントに攻撃が行われたという考えを示しました。

ムハンマド・デイフ司令官とは

ムハンマド・デイフ司令官はイスラム組織ハマスの軍事部門であるカッサム旅団のトップです。

イスラエル軍は去年10月のハマスによる奇襲攻撃の計画や実行で「極めて重要な役割を果たした」と指摘しています。

イスラエル軍によりますとデイフ司令官は1965年にガザ地区南部のハンユニスで生まれたとされ、1987年に発足したハマスに加わりました。

その後、1989年にイスラエルに拘束されましたが、囚人交換で釈放されています。

デイフ司令官はガザ地区からイスラエル側に侵入するための地下トンネルの建設計画にも携わっていたとみられています。

アメリカ政府は2015年、デイフ司令官を自爆テロやイスラエル兵の誘拐に関与したとして国際テロリストに指定しています。

「デイフ」はアラビア語で「客人」という意味です。

長年身を隠す中、家々を転々としているとされ、イスラエル側も数枚しか写真を持たないとされるなど、情報は限られています。

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