米ファイザーは30日、コスト削減策などが順調だとして24年12月期通期の予想を上方修正した=ロイター

【ニューヨーク=吉田圭織】米製薬大手ファイザーが30日発表した2024年4〜6月期決算は純利益が前年同期比98%減の4100万ドル(約60億円)となった。引き続き、新型コロナウイルス関連製品の売上高が低下したほか、工場のリストラに伴う費用計上で大幅減益となった。

売上高は前年同期比2%増の132億8300万ドルとアナリスト予想(129億6000万ドル)を上回った。コロナワクチンの売り上げが87%減と大きく減った一方、コロナ向け飲み薬「パクスロビド(日本での製品名パキロビッドパック)」は4〜6月期のコロナ流行を受けて79%増だった。

24年末までに40億ドルのコストを削減する対策に加え、ファイザーは製造プロセスの効率化を進めている。4〜6月期には工場リストラに伴う退職金を中心に13億ドル弱の費用を計上した。

コロナ関連製品を除いた売上高は14%増だった。23年12月に買収を完了したがん治療薬の米シージェンが約8億ドルの売上高の増加に寄与したほか、心筋症の治療薬「ビンダケル」や米ブリストルマイヤーズスクイブと共同販売する血液凝固を防ぐ薬「エリキュース」が好調だった。

コスト削減策が順調に進んでいると説明し、売上高や1株当たり利益(EPS)の通期見通しは上方修正した。

24年通期の1株当たり利益は2.45〜2.65ドルと従来予想の2.15〜2.35ドルから引き上げた。コスト削減策が順調に進んでいるほか、新型コロナの治療薬の売上高が想定以上に高くなりそうだと説明した。通期売上高は595億〜625億ドルを見込む。従来は585億〜615億ドルを予想していた。

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