【リオデジャネイロ=高見浩輔】米商務省が25日発表した4〜6月期の実質国内総生産(GDP、季節調整済み)速報値は前期比の年率換算で2.8%増えた。1〜3月期の1.4%増から加速した。金融引き締めで減速が予想されるなか、個人消費が底堅さを保って全体をけん引した。
成長率は経済指標から自動計算するアトランタ連銀のGDPナウで2.6%と予想されていた。
個人消費は2.3%増えた。23年後半に3%台の高い伸びを記録した後、1〜3月期に1.5%増に減速していた。特に6月の小売売上高が減速予想に対して横ばいとなり、4〜5月の減速傾向が続かなかった。
設備投資は5.2%増。1〜3月期の4.4%増からさらに増えた。バイデン政権が導入した半導体分野などの補助金で活発になった工場建設がピークを超えつつあるが、堅調だった。
住宅投資は1.4%減った。1〜3月期は16%増だった。コロナ禍で大きく落ち込んだ後は回復基調にあったが、高金利が長引き再び勢いを失っている。
輸出から輸入を差し引いた純輸出は成長率を0.72ポイント押し下げる要因になった。米国は日用品など多くの製品を中国などからの輸入に頼っている。消費が強まれば輸入が増えるが、輸入の増加はGDPの押し下げ要因となる。
新型コロナウイルス禍後の高インフレに対応して米連邦準備理事会(FRB)が政策金利を01年以来の水準まで引き上げてから1年が経過した。
エコノミストの多くが金融引き締めが23年にも景気後退をもたらすと予想したが、米経済は底堅さを残して成長を続けている。
FRBは物価上昇率の鈍化を受けて9月にも利下げを開始し、引き締めを和らげる構えだ。足元の成長率は失速を避けた軟着陸(ソフトランディング)の軌道にある。
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