中国との対立が続く南シナ海の領有権問題を巡り、フィリピン政府は21日、中国側と緊張緩和策で合意したと発表した。フィリピンが実効支配するスプラトリー(南沙)諸島アユンギン礁への生活必需品の補給などに関して暫定的な取り決めを交わしたという。ただ、詳しい内容は明らかにされておらず、実効性が担保されるかは不透明だ。
フィリピン外務省は声明で、「双方は引き続き、南シナ海における(緊張)状況を緩和し、対話と協議を通じて相違に対応する必要性を認識する」と発表した。「この合意が南シナ海における互いの立場を損なうものではないことに同意する」とも記した。
海洋進出を図る中国は、アユンギン礁への補給活動などでフィリピン側への妨害行為を繰り返してきた。6月には、補給任務中のフィリピン軍の船が中国海警局の船に衝突され、フィリピン人兵士が指を切断する事件も起きた。
これに対し、2022年に発足したフィリピンのマルコス政権は、米国や日本などとの安全保障面の関係強化を図っている。今月8日には、首都マニラで日本との外務・防衛担当閣僚会合(2プラス2)を実施。両国部隊が共同訓練などで行き来しやすくする「円滑化協定」に署名した。(石原孝)
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